貴方に唇を━━━。
誤字脱字ありますが、気長に見てくれると幸いです…!
━━━そこは先程までユーフィリアと共に居た場所だった。
「っ、ここ…。」
辺りを見渡した。何回も。だがそこは元の世界に戻ることなく先程居た異世界だ。
「どうした?まるで排出物を出し終えた後ようなやせ細った顔をしおって…。不愉快だ、下郎。」
げ、下郎って。。。あれ…しおって?しばらく考えたが、ユーフィリアは多重人格と言っていた。もしかしたら…。
「君…もしかして、“もう1人のユーフィリア?”」
その言葉を口にすると、ユーフィリアは途端に思惟顔になった。
「…某から聞きよったか。まぁよい。とりあえず座れ、話はそれからだ。」
そんな言葉を言うと何故かここの空間が心地よくなくなる。いや、そもそも無理してここが心地よい、なんて今まで自己暗示していたのが解けたような気もするが…。
「は、はぁ。」
近くの椅子に座り、対談…と言った空間が広がる。
「さて、話という、の…は……。」
突然、ユーフィリアが顔をうつ伏せにして目を閉じて座っていた。失神しているかのようで、逃げ出したいという気持ちが反面、ユーフィリアに近づきたいという思いがあった。かと言って、ここで逃げ出したところで帰れる術はない。今はユーフィリアだけが頼りだ。ここはやはり、ユーフィリアの様子を伺うのが最善だろう。彼女に1歩、2歩。少しずつ近づいていく。今も彼女の甘酸っぱい香りがほんのりと漂ってくる。
(これが女の子、か。)
ごくりと、唾を飲む。彼女の目の前に着くが何をすればいいのか、考えを巡らせた。
「…ど、ど、ど、童話では相方の唇を合わせれば起きるなんて話がある。…やってみる価値はあ、あるよな。」
ユーフィリアの前髪をどけ、ユーフィリアの唇に近づく。再度ごくりと、唾を飲んだ。
(初めてのキス、初めてのキス、初めてのキス…)
そんな言葉を何回も心の中で詠唱していた。その時━━━
「んっ…。」
大きな目を開けていたユーフィリアが目の前に居た。それもとてつもない至近距離の中で。
「ひっ…いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
ユーフィリアの叫び声は鼓膜が破れるほど痛く、部屋一帯に響いた。彼女が勢いよく立ち上がろうとすると、ユーフィリアの額と僕の額がぶつかり二次災害が起こる。
「うぅぅ…痛いよぉ。うぅ。」
「痛いのはこっちの台詞だ!骨にまで響く…痛い…。」
しばらくして、頭の痛みは消え、ユーフィリアに近づく。
「あぁ、えっと。こっちの台詞だってきつく言ったな、ごめん。…あれ?」
彼女は泣いていた。体をひくつからせながら、小刻みに震えていた。ついでに言うと、部屋の隅で体育座りで丸まりながら。
「えっと、別にユーフィリアにきつく言いたかったわけでもなんでも…だ、だから泣くのやめろ…!」
「ちが、ちがうのぉ…急にその、す、好きな人のか、か、か、顔が目の前にあって!!!…はっ!」
その言葉で一瞬の硬直が部屋に流れた。
「へ?」
「あっ、えっとその…」
彼女は耳の先まで赤らめていて、慌てていた。
「…えっと、今の言葉から察するに、僕のことがその、好きだと…?」
小さくユーフィリアは頷いた。
「…そ、そうなんだ。あは、あははは。」
手を後頭部に回して、よそ見をしながら(ユーフィリアをわざと見ないで)苦笑いをした。曰く、ここで苦笑いしないと、この空気にいられなくなったと察したために。
「だって…」
「ん?」
「だって、だってだってだって!!」
「んんっ!?」
何故か駄々をこね始めるユーフィリアに戸惑っていた僕氏。
「だってぇ…うぅ。格好よかったんだもん…。」
それに対してなんか格好よかったと言っている彼女。
なんなんだこの絵面は、と思いながらユーフィリアの話を聞く。
「その、格好いいって言うか、可愛い?愛くるしい…みたいな。えへへ。」
なぜお前が照れる。そしてなぜ途中で疑問形になる。はっきりしろ。
「その、愛くるしいって言うのは一男子からするとある意味軽蔑されてるような気がするからもっと違う…」
「え?んーー…じゃあ、神聖?魅力的とか!」
「神聖って、僕慕われるような存在じゃない!それになんだ、魅力的って!」
「え?知らないの?校内の一部女子から断然攻めの零くんって言われてるのに…。」
「な、なんだよそれっ!?」
(僕が断然攻めの零くんって校内で…?攻めってなんだ、攻めって。あれか、守りと攻めみたいなやつか、そうなんだよな!?)
現実を受け止められていない僕も僕で見苦しいかもなと、少し思う。
そして、僕達が話すにつれ、雲行きは怪しくなり、良からぬ気配を王都の皇帝が察知した。
「そうですか。…えぇ。また彼女にでも頼みますかねぇ、“最強最悪の女神━━ユーフィリア・アナスタシア”を。」
前回早めに更新するって言ったから、約束守ったよ!頑張ったよ!
書いてる最中に思ったことが、ユーフィリアの「校内の一部女子から断然攻めの零くんって言われてるのに…。」
みたいな文ありましたが、あれどう考えても今期の…いや、なんでもないです。
では次回お楽しみに!