プロローグ 世界【前編】
あれは僕とあいつが今まで居た世界の話だ…いや、だったのかも知れない。
桜が咲く頃だったか、新学年になり気合いもはいっていた。と言うのもあいつとの約束があったからなのかもしれない。
そんな事を考えていると着々と僕の学校が見えてきた。
「おはようございます」
「おっはー!零くん」
「んーもはぁよぉ…」
僕は口に含んでいた食べ物を食道へと移し、教室へと1歩、1歩と力強く籮翳と共に進んだ。
「そう言えば今朝標語でしたっけ…賞に選ばれたと、ユーフィリアさんに聞いたのですが…」
「あぁ、確かそうだったけ…」
教室の前に進むとそこには掲示板があった。そこに堂々と大きく書かれていた紙が貼られていた。
【最優秀賞 東神 零 君 おめでとう御座います】と。
「やはり東神さんは素晴らしい方ですね。私も負けず劣らず学業に励みたい~…
見慣れた風景だった。聞き覚えがあった言葉だった。東神家だからと、贔屓され箱入り息子として生きていた。いつも、いつも、いつも…僕はそんな生活が嫌だった…!
「…みさん!東神さん!」
「あっ…」
僕は籮翳の声を聞いて僕は気を確かにした。
「どうしたんですか?東神さんらしくないですよ。何か相談することがあれば、遠慮なく申して下ださい。」
こちらに顔を近づけた。甘い香りと仄かに服の隙間から谷間が見えた
「いや…何でもない」
理性を失いそうだったが遠慮して、僕は額の冷や汗を拭い教室に向かう。知られたくない、あいつの約束のことを。
「はぁー」
地味に広い生徒会室の中で今までの人生で一番重いため息をした。
「もぉ、そんな重いため息しちゃって…」
「なんで肆螺蕋はそんな元気なんだよ」
僕は呆れた顔でギャルみたいな格好の奴を見た
「…ちょっ!?どこ見てんの変態!!」
その言葉は生徒会室に広がり、すかさず肆螺蕋は胸と、スカートを抑え、頬染めた。
「べ、別に何も見てねーよ!?」
俺は動揺を表に出しながら、その言葉を放った。
「なーんちゃって♪やっぱ、箱入り息子の時と全然変わってないなー零君は」
僕はその言葉を聞いて僕は脳内の何かが切れた感覚になった。
「箱入り…息子?」
僕は怒っている。そう感じた時はもう手遅れだった。
「…箱入り息子だからなんなんだ?お前はなにがを知っているんだ?何も知らないだろうな。お前らのようになぁ…のうのうと生きてるやつが僕は一番嫌いなんだよ…!霊のようにまとわりついて来てウザイんだよッ!なんだ?成績が良いから褒め称えられる?うるせぇよ…毎回毎回同じように凄い凄い!!ロボットなのか?どんだけ語彙がないんだ?……もうほっといてくれよ…て言っても、お前はいつもくっ付いてくるよな?あれか?もしかして好きなのか?僕のこと。馬鹿なんじゃないのか?僕はお前みたいに世間を知らないし、お前みたいな奴と付き合えない、吊り会えない。今まで一緒だったから分かんだろ?なんなら、僕が居なくなったらお前はもうでしゃばらなくて済むよな?僕が悪かった、死んで償うよ。悔いのないようになぁっ!!!」
俺は最後の最後まで言い切った。とても清々しい気分。途中から自分でも訳が分からなくなってしまった。僕は肆螺蕋を見た。
「…ひっぐ…うっ」
理性を再び戻し、彼女を慰めようとした。
「な、泣くなよ…」
僕は肆螺蕋の肩に手を置こうと思った時…
「触らないで…うっ、わた、しと関わりひっく…あいたくないんだ…っ……よね。だか…っら」
肆螺蕋は鞄を持って勢いよく扉を開けた。
「 さようなら 」
それが彼女の最後の言葉だった。