仕事と孤独
ーママぁ、今日の授業参観も来れないの??ー
ーごめんね、ママ朝からお仕事なのよ。パパも今日は忙しいみたいだから、ごめんね。仕事場から見てるわねー
ー…はぁい……ー
ー…ごめんね、今日だけは空けておきたかったんだけど、シフト代われなかったの…ごめんね…パパにビデオ撮ってもらうわね……ー
ーうん、いいよ。仕事忙しいでしょ……がんばってね。ー
ママは看護師。忙しいことはわかっていた。
パパも働いていた。
わたしは家でいつも1人だった。
「うわー、明日ワクチン接種だって…注射嫌だなぁ…」
「えー!しかも来週採血だし…やだ…!」
あたしはエリカと新入生の健康診断の表を見ていた。
「エリカ、背高いよね。165くらい??」
「うん、そのくらいかな〜でもユウくらいの身長の方がかわいいから羨ましいなぁ」
「あたしあと3cmくらいほしかったなぁ〜」
155cm。うーん、もうちょい!って感じ。
身長といえば…
「東山くんってどのくらいなんだろうな〜」
ニヤニヤしながら言うと、エリカはすぐ赤くなる。
ふぅ。かわいい。
「し、知らないよ…でも175くらいはありそうだよね。」
エリカと東山くんが並べば相当な美男美女カップルだな…雑誌に載りそうな……
「…学内新聞に載せたい…」
「え?なんて言った??」
はっ、つい本音が。
「あ、いや、エリカ美人だからあたしが新聞部入ったら表紙モデルとかやってほしいな〜って思って。」
嘘はついていない。動揺もしてない。よし。
「えー!?そんなの恥ずかしいよ…っ」
そんなこんなでくだらない話を続けていると、休み時間はあっという間に終わり、先生が入ってきた。
授業内容の説明や履修登録についての面白くない話(睡魔との戦い)が終わり、ようやく次は各部活の紹介…
というところで。
「ユウちゃん…」
え…
どうして
「…………ママ……」