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エリカとマリア

ーねぇ、エリカ。この歌、なんていうか知ってる?ー



……知らない。



ーでしょ?これ、わたしが作ったのよ!エリカには、最初に聴かせたかったの!ー




ふーん。


すごいね。






姉は、頭がよかった。

わたしよりも、ずっと。



姉はわたしのことが好きだ。

というよりは、好きでいようとしている。




「わたしのこと」を知っているから。


姉の配慮は喜ぶべきものだともわかっていたし、それを拒絶しようとは思っていなかった。



けれども。





姉がわたしに配慮すればするほど、わたしは姉に嫉妬するようになった。




昔から、自分にそっくりなのに、みんなに褒められる姉を見ていた。



ーマリアちゃん、また学年で一番だったってね!ー

ーまぁ、さすがねぇー



真理愛(マリア)は、わたしがそれを良く思っていないことをずっと理解していた。


だから、わたしに優しくした。

わたしを守った。




本当は、本当はとてもいい姉なのにーーー




そんなこと、わかっているのに。










わたしは、(マリア)が嫌いだった。






「エリカは、どんな曲歌うの?やっぱ合唱曲??」

「いやー、さすがにカラオケとかては普通の曲歌うよー」


ユウと話すのは楽しい。

いい友人に巡り会えてよかった。


「今度カラオケいこー!」

「うん、いこいこ!」


こうやって、気を使わずに話していたい。




マリアと話すときは、気を使う。


マリアが気を使っているのもよくわかる。




薬学部棟の目の前の大通りにさしかかる。

人混みは苦手だ。



「ユウ、そういえば、…こっちに来て」



ここは、以前マリアに連れて来てもらった場所。


ここは、ここだけは、本当に感動した。




大きな桜。




なぜこれほど人目につかないのかわからないくらいの、太く伸びた幹。それを覆い尽くす花。



ここで、この桜の下で、歌う。



それがわたしがこの大学を目指したひとつの理由でもあった。



「…うわぁ……こんな立派な桜、初めて見た…」


ユウもただただ感嘆するしかなかった。








しばらくして。




エリカが歩き出す。


ユウもゆっくりとその場を後にした。




……あれ…?


ホワイトスーツの姿が見えたのは……気のせいだったかな??

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