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落ちこぼれ魔術師  作者: 滝峰 つづり
落ちこぼれ魔術師の旅立ち
9/43

班決め

 この作品の方向性が見えません ←おい作者


 という嘆きから入りました滝峰つづりです。


 (ばつ)さん、いったいこの勝負のゴールはどこなんでしょう?

 そもそもゴールあるんですか?(笑)


 このままだと私は人生がゴールインしちゃいそうです。



 さて、ようやく物語も動き出して来たわけですが……どうなのでしょう、楽しんでいただけてますか? 私も全力で取り組んでいきますので、どうか最後までお付き合い下さい!

 それではまた次回……いえ、また明日!!


「…………ほぁ!?」

 僕はそんな間の抜けた声を出してしまった。

「クロの王都行きの会議は結構もめてたみたいで、今さっき決まったんだよ? で、私がその伝言役をかって出ました。誰もやりたがらないしね。―――はい、これ」


 ずいっと少し大きめの布袋を押し付けたシロ。大きさほど袋は重くなかった。

「これは?」

「クロの三日分の服と下着だけど?」

 なに平然とそんなこと言ってるのでしょうかこの人は……。


「……カギかけてなかったっけ?」

「学校から旧校舎の鍵を借りました」

 実は低かったウチのセキュリティ状況!!

「次からはカギかけてたら開けるなんて手段とらないでね、僕にも見せたくない物とかあるから……」


「今回は急ぎだったし……。でもこれからは気を付ける、ごめんなさい」

 しゅんと小さくなるシロ。悪気がないのはわかってるんだけどこればかりはちょっとね。

「………まぁ、でも助かったのは事実だし一応お礼を言っとくよ。ありがとう」

「うん……」

 少しほっとした顔をするシロにこちらも安堵した。


 話がまとまったところで草原にいる魔術師の集団に近づいていき、ある程度集団の姿が大きくなるとフードを深くかぶった。

 僕らに気づいた魔術師の一人が声をかける。

「やあ、君たちも討伐隊の参加者かい?」

「はい、私はシロです。で、こちらが……」

「クロです、よろしくお願いします」

 きちっと礼をして挨拶を終えようとしたが――


「ふーん、君があの有名なクロくんか……、魔物は()()()では辛いかもしれないけどお互いに頑張ろう」

 顔では笑顔を取り繕っているが目が笑っていない。『落ちこぼれが! なんで参加しやがった』的な視線があちこちから飛んでくる。


 やっぱり僕はどこにいっても歓迎されないらしい。


「まだ来てない人もいるけど今のうちにある程度班を分けておこうか。馬車は二台だから二班だ」

 全員が頷き、班決めが始まった。僕も含めて七人だから四と三に分かれるのかな。


「まず俺らの班を決めるよ。ここは公平にいかなきゃね、まずシロさん、そしてオーリー、ザトルと、ゴルニと、マルス。ごめんだけどクロくんは後の人の班に入ってくれるかな」


 口許が歪につり上がる面々。どうしてこう人を無形魔術師(かたがき)だけで差別するんだろう。


 六と一、明らかにそこに公平なんて存在しなかった。


「すみませんが私はそちらの班には入りません。クロを、いえ、人を見かけだけで判断する人の指揮下で動きたくありませんから」

 冷たい氷のような言葉で班から抜けると言ったシロに、リーダーとおぼしき青年が僕への本当の感情を爆発させた。

「はぁ? 彼は無形魔術師だよ? ろくな魔術を使えない役立たずと行動したいの? 俺は中級魔法をいくつも唱えられるんだ。こんな奴より俺らと――」

「だからなんですか?」

 シロの声は僕も若干震えそうになるほど冷たいものだった。「出発するときは呼んで下さい。私はすぐそこの木のそばにいますので」と振り返らず言い捨て、この場を去った。


 僕が、この場での一人はきびしいなと思っていると、赤いなにかが僕の横腹に突っ込んできていた。

 とっさのことになにも出来ず、赤いなにかに掴まれてそのまま押し倒される。そのとき腰を強打。


「いッつー!」

「にゃはー、お兄さんも討伐隊だったのかー。いやー、運命感じちゃうね!!」

 目を開くと先ほどの獣人の女性だということに気がついた。


「……フェイ、その少年困ってる。どいた方がいい」

 この抑揚のない声も一応覚えがある。

 声の主を探すと、小さい女の子が目に入った。

 水晶玉を両手で持ち、ウチの魔術師の証であるローブはブカブカ。幼い顔立ちに、眠たそうにとろんとした目。

 …………流石にこの子じゃなさそうだ。

 ピクリと水晶玉の子の眉が動いた。


「……フェイ、やっぱりもっとやっていい」

「やったね、ディーネの許可も出だしお兄さん遊ぼうよー!」

 馬乗り状態で上半身を激しく揺さぶられ、かるい吐き気がしてくる。あと、声の主はあの子だったのか。


「フェイランさんにディーネさん。丁度いい所に……、班決めの話なんですが――」

「班? アタシはこのお兄さんの班に入る!」

「……私もこの少年に先輩のなんたるかを叩き込む必要があると見た」

 即答する二人に少しよろける青年。

 しかし僕はそんな青年の反応より引っ掛かるものがあった。

 …………先輩って、この二人とも?


「で、でもそいつ無形魔術師ですよ? やはりそんな奴より俺らの班に……」

 ちょっとこの青年の言いたいことがわからなくなった。

 さっきは後に来た人たちとどうたらとか言ってなかったっけ?

「? 無形魔術師がどうしたの?」

「……後輩に無形も法式もないよ」


 獣人の女性がやっと手を止めてくれたことに一息ついた。


「俺ならこんな奴より――」

「……優れてると思うのだったら私たちは必要ない。概ね無形魔術師を孤立させるつもりだった、違う?」

 なにも答えない青年。僕からすればそれが答えのようなものだった。


「そろそろ出発しようよ、お兄さんも早く!」

 馬乗りの状態で言われても動けるはずがない。

「……フェイ、そのままだと少年が動けない」

「あ! ごめーん……」

 ひょいと、離れる獣人さん。僕はローブについた土を払いながら立ち上がった。


「……出発する。自己紹介は馬車の中にしよう。――特に年齢の事をじっくり」

 ゾゾゾと寒気が走った。あまりいい予感がしないのは何故だろう。

「あ、その前にシロを呼んで来ますね」

「じゃ、アタシたちは先に乗ってるよー」


 はい、と返事してシロのいる木まで走り、ジト目で僕を睨むシロを立たせた。すると立ち上がり様僕のすねを蹴って先に行ってしまった。


 な、なんか怒ってる……。


 涙が出そうなほど痛かった一撃の意味が僕には全くわからなかった。

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