獣人
どうも、最近睡眠が不足しがちな滝峰つづりです。魃さんもホントよく毎日新しい話を書けるなー……。
私なんてノリと勢いだけでどんな話にするのか明確に決まってない状態なだけに毎日ネタ探しから始まって大変です(苦笑)
さて、そんな私でも昨日一日のPV数が200を超えて、かなり舞い上がってました。そのせいかな、今の作業が二倍しんどい( ̄▽ ̄;)
体力は無限じゃないぞという話でした。
それでは本編をどうぞ♪
シロを女子寮の前まで送り、自分も寮に戻る。と、言っても無形魔術師を隔離してる使われてない旧校舎なんだけど。
そこに暮らしているのは僕だけ。無形魔術師は本当に希少なのだ。もしくは本当に運がなかった人とも言える。
だらだらと旧校舎の前までくると鍵を取り出し解錠。今日もため息と一緒に昇降口の扉を開けた。
風呂もキッチンも何もかも一人で居れるだけ有り難いと思おう。そう割り切ると、風呂もご飯も早く終わらせてすぐに横になって眠った。
カーテンの隙間から射し込む朝日が眩しくて顔をしかめる。二度寝しようと寝返りをうつが、残念なことに眠気は訪れてくれなかった。
仕方なく布団を畳み、延びをして顔を洗いに行く。
旧校舎の宿直室が僕の主な生活スペース。下手な寮より広いし、何より陰口や陰湿ないたずらがないところがいい。
「流石に早起きしすぎたかもな……」
カーテンを端にくくりつけて外を見るとまだ、朝焼けがきれいに空を染めている。
―――外に出ようかな。
今着ている服の上から闇色のローブを羽織り、なんとなくいつもの草原へと足を向ける。
朝の新鮮な空気に脳の回転が少しずつ早くなりだすのを感じた。いつもと同じ場所でも時間によって全然雰囲気は変わってくるもので、何もかもが新しくみえる。
「ふにゃ~? お兄さん珍しい匂いがするね」
「え?」
始めて聞く女性の声にあわてて振り返った。
「初めまして♪」
「あ、どうも……」
朝焼けよりも少し濃い赤色の髪、少しとがった目と獣みたいな瞳。なにより特徴的なのが少しくせっ毛な髪の上にのっかってる2つの三角形。
ピクピクッと動くそれはまるで猫の耳……。
「おや、お兄さん獣人を見るの初めてだったりする?」
「え、ええ、その………なんかすごいですね」
「にゃはは、この耳さわってみる?」
そう言い頭をずいと近づける獣人の女性。
さ、触ってみたい………。
無意識に自分の手が柔らかそうな三角耳に延びていく。
――しかし……。
「………フェイ、学園長室に行かなきゃいけないはず。寄り道ダメ」
「おっとっと、そうでした……。ごめんねお兄さん、またどこかで逢えたときにたくさん触っていいから!」
突如女性の後ろから聞こえた抑揚のない声に、急いでいたんだったと走って行ってしまった獣人さん。
僕はこの手をどうすればいいのだろう。
しばらくの間、半分ほど上がっていた手をやるせなさからか下ろせなかった。
早起きしても大した徳があるわけではなかった。
早く帰ろう。そう思ってもと来た道を引き返していると、大変見慣れた白いローブの少女を見つけた。
「シロ、おはよう。具合はどうだい?」
「あれ、クロ? 今日はやけに早いね」
シロもなかなか早いと思うけど。
「ちょうど君を呼びにいったんだけど留守にしてたみたいだし、先に来ようと思ってたけど……丁度よかった~」
「丁度いいってなにが?」
「くればわかるよ」
手を引き、グイグイ進んでいくシロにペースを合わせる。
シロは僕を何処に引っ張っていくんだろう。この先はただの草原しかないのに。
ふと、草原のなかに、点々と人の姿があることに気がつく。……あれはなんだろう。
「いやー、まさに驚きだね。私たちが王都に呼ばれるなんて」
「はい?」
「昨日の緊急会議、王都周辺の魔物が急に増えだしたとかで優秀な魔術師にその駆除を頼む依頼が届いてたんだよ」
いや、ちょっとそれって……。
「だから――今から馬車で王都に向かうんだよ!」