一対四十九
いつまで連続投稿が続けられるのかちょっと恐い滝峰つづりです。
魃さんの投稿スピード早いなー( ̄▽ ̄;)
合わせるだけで私はひーひー言ってます。はっ! まさか私がこうなるのも魃さんの計算の内!?
と、茶番終了。バトルの結果も私が順調に勝ってますよー。でも気を抜くとすぐに負けますけどね(苦笑)
それではまた明日。………はっ!?Σ(´Д` )明日って言っちゃった。
シロの案に乗った後すぐに予鈴が鳴った。五時間目は魔術実技。そこで僕は全員と戦い、そして勝つ。
それがひとまずの目標だ。
実技には安全を兼ねて魔術の出力を制限する腕輪を装着することが絶対条件になっている。その上で教諭が監督として付き、どちらかが降参もしくは監督が止めに入るまで魔術を撃ち合う。それが魔法実技という教科である。
シロと一度教室まで戻り、実技用の腕輪を取ってから魔術防壁の張ってある体育館へ移動した。
ちょうど体育館に着いたとたんチャイムが鳴った。
「おお。シロにクロか、ギリギリセーフだったな、もう少し遅ければ館内100周させるところだったぞ」
ガハハと豪快に笑う声に続き、ゴツゴツしたデカイ掌が僕の背中をバシンと叩いた。……痛い。
振り返ると筋肉の塊……もとい実技教官のバルトス先生がいた。
「すみません先生」
即座に謝るシロ。別に遅刻した訳じゃないのに。
「ほら、さっさと並んだ並んだ」
「はーい」
生返事をして、既に出来ている列の一番後ろに並んだ。
タンクトップにジャージの下そしてホイッスルを首からかけたバルトス先生の姿は、どちらかと言えば体育の先生みたいだ。
「んじゃ、今日も魔術を撃ち合ってもらうんだが、絶対に試合中に腕輪を外すなよ。魔術ってのは本来ならおいそれと人に向けるものじゃないんだからな」
先生はいつも練習前にこうして注意から始まる。どこかの魔術基礎の教諭とは違い、一部の生徒をひいきなどせず、平等に接してくれる数少ない僕の理解者でもある先生。
「まずはペア決めから……ん? どうしたシロ」
スッとまっすぐ手を上げ、一瞬こちらに目を向けたシロ。
シロ、何をする気なんだろう
「先生、そのペア決めですがクロくん対このクラス全員というのはどうでしょうか」
「なっ――!?」
どよめくクラスメイト。
僕が、いきなりこのクラス全員とだって!?
「ほぅ、理由は?」
「私を含めてこのクラスでは一対一でクロくんに魔術を当てたことのある生徒はいません。このまま普通にペアを組んで彼と戦うより、彼のスキルアップを促すためにも圧倒的不利な状況を作ってみてはと思い提案致しました」
こいつ、前もって考えてたんじゃないかと思うほどすらすら言葉が出てくるな。
「うーむ、お前らはどうなんだ?」
「さんせーでーす! でも先生、担架の準備はしてた方がいいですよー」
たしかにー、とかそれ言えてるとか言う声は上がるが、反対の声はない。
ふと、シロを見ると『空気は作ったよ、後はガンバ』と言ってるような顔をしていた。……この白髪は。
「なんだてめぇら、まだ法式だの無形だの気にしてやがんのか? ったく仕方ねぇ奴らだな。クロ、嫌なら断ってもいいんだぞ」
これが最初の一歩だ。形はどうあれシロが場を作ってくれた。それに、答えなんてはなっから決まってる。
「やりますよ、僕に攻撃が当たるとは思いませんからね」
「おいおい、マジで言ってんのか? この数を相手にするんだぞ」
僕を諭そうとしてくるバルトス先生。
きっと誰もが無謀としか思わないだろう一対四十九の模擬戦なんて。
「マジですよ、あ、でも担架の用意は一応お願いしますね……」
「あ、ああ………。お前ら、グループで数分間作戦を練ってくれ、その後模擬戦だ」
列を崩し、僕から距離をおいてヒソヒソ作戦会議を始めるクラスメイト。
しばらくして先生が僕に近づいてきて肩を叩き、真剣な面持ちで口を開いた。
「俺が危険だと判断したらすぐに中断させるからな」
まったくもっていい先生だよ。でも、この模擬戦僕は負けるつもりなんてさらさらない。
「先生、担架は十セットほど用意していて下さいね」
冗談めかして笑いながら肩に置かれた手を下ろさせた。
「お前ってやつは……。ま、大ケガだけはすんじゃねーぞ」
先生の去り際にもう一度背中を叩かれた。……やっぱり痛い。
次回、ようやくクロ無双です。