涙
どうしよう、いつもの時間に合わせられない……。狼狽えまくってる滝峰つづりです。
やばいよー、魃さんがめっちゃ怒ってる。朝の6時までに出せよって脅迫されてます。
ここは読者の皆様には申し訳ないのですが、明日一日さぼ………もとい、時間の調整のために休みをいただきたいと思います。本当に申し訳ありません。
その分最近少なかったボリュームもUPさせ、話もぐんぐん進めるつもりです。
それでは次の話で!
「さて、僕の話はもういいでしょ? 次はディーネの番だよ」
あまり探られたくない内容なので少し強引に終わらせた。
ディーネはもうちょっと知りたそうな顔をしたが、やがて諦めたようにため息をついて僕の目を見据える。
「……ディーネは――死ぬために魔術師になりたい。死に場所が欲しいの」
僕は絶句した。
死ぬために魔術師になる?
それは予想もしない悲しい一言だった。
「死に場所が欲しいって……」
「……ディーネは要らないから、男じゃないから棄てられたの。ディーネの帰る家はない、だからせめて死に場所が欲しい。生きてた証が欲しい!」
強く、確かに意思のこもった瞳に、自然と僕は目が逸らせなくなった。
「……ひとりぼっちは嫌だった……。誰かに認めてほしかった……。誰でもいいからディーネの名前を覚えててもらいたかった」
だから元から素質があった魔術師になって死ぬときに名が残るような大きな事を成したい。――それが理由だとディーネは笑った。
魔術師を目指す理由は人それぞれ。人の過去もそれぞれだ。けど、だけど、ディーネの告白に僕は許せないことが一つあった。
「……――死に場所が欲しいとか、死ぬために魔術師になるとか、そんなことは金輪際言うな!!」
びくりとディーネの肩が揺れた。
僕はそれを無視して捲し立てる。
「いいか、僕もディーネと同じで棄てられた人間だ。ディーネの気持ちも少しはわかる! けどディーネは生きたいけど死んでいった子供を見たことはあるかい? 不治の病を患いながら最後の刻まで笑顔を絶さなかった子は? 弟の不始末から泣きじゃくり自分の首を差し出そうとする兄は? そんな子達の前で同じセリフが言える? 私は死にたいんだって」
「――ッ!!」
ディーネは幸運だ。どんな家庭だったかは知らないけど、魔術師になれる才能があったのだから。
僕が預けられた孤児院があった場所は治安が悪く、一週間に一人の割合で子供が死んでいく。常に死が手招きしている状態で育った僕からすれば宝くじを当てるほどの幸運だと思える。
「――言うよ、死を選ぶなんて贅沢はしちゃいけない。もうその言葉は使わないでくれ」
「……ごめん………なさい」
白い頬を対になってつたう二つの雫。
ディーネが流した泪に、熱くなっていた頭が急激に冷めはじめた。そして自分が何をしていたのか冷静に考え、青ざめる。
「こ、こっちこそごめん! 急にかっとなっちゃって勝手なことばっか……」
それからディーネが泣き止むまでしばらく僕は謝罪を続けることに全力になった。