整理
明日もこんな時間になりそうです。ではまた
白米は結局あのあとフェイを捕まえて炊かせた。
料理が苦手といっていたが、さすがにご飯を炊くことは出来るようだった。
カレーをお腹一杯食べて満足した僕は、みんなと今日のことを振り返る。
辺りはすっかり夜のとばりがおりて、ほのかに瞬く星々が僕らを照らす。
僕らが囲む炎は木を糧にしながら赤々と燃え、時々爆せる音を鼓膜に残した。
「シルバーウルフ……やっぱり王都付近の魔物の急激な増加と関係してるのかな」
僕の問いにディーネは難しそうにあごに手を当てうなる。
「……なんとも言えない。でも可能性は高い」
「シルバーウルフはこの辺だと生息してる山は限られてくるよね」
「……シルバーウルフは一度群を作ると、普通なら山から降りてくることはない」
となると、シルバーウルフの生息地の山でなにかがあったと考えるべきなんだろうか……。
「あのさ、魔物避けの結界は張ってるけど念のために交代で見張りをしない?」
ディーネと状況の整理をしている所にシロが割り込むように提案してきた。
「えー、夜は苦手なのに……」
フェイは見た感じ猫科だよね? と思ったけど突っ込みはしなかった。
「シロの話はもっともだね。それと見張りはペアが良いと思う」
誰かさんがまたサボりそうだしと、フェイをジト目で見やる。
……あ、目をそらした。
「……ペアを決める? なら遠近のバランスを考えるべき」
遠近……だいたいこんな感じになるのか。
シロ――遠距離攻撃、支援系魔術。
ディーネ――遠距離攻撃。
フェイ――近接格闘系。
そして僕はどちらもとれる。この場合はディーネと僕。シロとフェイがバランス的にもいいだろう。
その旨を皆に告げると、シロが納得できないような顔をした。
「そこは私でも良いんじゃない? 私だって遠距離な訳だし」
「シロは支援魔術も使えるでしょ? ディーネは遠距離の魔術以外覚えていないんだよ。だからそこを補うため僕がこっちでシロはあっちなの」
何が不満なのかう~、と睨み付けるシロに首をひねることしかできなかった。
「……少年、鈍すぎる」
「さすがクロくん。神なるとーへんぼくだね」
え、あれ? 原因は僕にあるの!?
それから誰にどう聞いても鈍感男だの、にぶにぶ星人だの、返ってくる言葉は似通った悪口だけだった。
こうなれば意地だと結局ペアは変えずに、僕とディーネで周囲の見張りをはじめた。
テントの中は先程まで僕に対する文句がぶつぶつ聞こえていたが今はピタリと止んで静かすぎるくらいだ。
なにかを話さなければ。気まずい空気の中、ゆっくりと口を開く――
「あのさ――」
さて、無口な先輩とどんな話をしようか。