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落ちこぼれ魔術師  作者: 滝峰 つづり
落ちこぼれ魔術師の旅立ち
14/43

お風呂


 少しずつブックマークが増えてきてにやけてしまってます。滝峰つづりです。


 昨日はなんと感想が届きました! 内容は訂正ヶ所の指摘でしたが、やはりよく読んでいただいてるんだなーと嬉しくなりました。


 本来今日はなにも報告がなければ中二病の話をしようと考えていたのですが、明日にとっておきましょう。


 それでは、本編どうぞ! (ばつ)さんファイト

 その後の馬車は滞りなく進んでいたのだが、予定よりも大幅に遅れており、今日の目標にしていた村に着く前に日が暮れてしまいそうだった。


「ふにゃー……夜中(やちゅう)の移動は危険だよ。今日は野宿にしない?」

 フェイが馬車から身を乗り出し、夕焼けに染まりつつある空を見上げそう提案した。


「そうだね。夜は方向感覚も鈍るし、馬もそろそろ休ませないと」

 僕は野宿に賛成。

「……異存はない」

 ディーネも賛成。残るシロは……。

「え? 野宿!? ムリムリムリムリ、む~り~!!」

 完全拒否モードだった。


「シロ、何が不満なのさ。一応テントもあるじゃないか」

「だって――お風呂がないんだよ!?」

 まるで世界の終わりのような顔もするシロに僕らはしばらく思考が停止してしまった。


「……あ、アタシもできればお風呂に入りたいけど、ワガママも言ってられないよ? 特にこれからは……」

「…………そう。シロお風呂一日我慢する」

 なだめようとするフェイたちを見ていたシロの目がカッと光った。


「フェイさん、ディーネちゃん甘いです! それでも華の乙女ですか! そもそも――……」

 しばらく言い合いを見てること数分。

 いつの間にかシロに説教され、二人の姿勢が正座に変わっていた。


「だから私は野宿反対なの!」

「にゃー……。クロくん、止められなかったよ」

「……ごめん少年」

 それでも夜道を進むわけにもいかないよな……。

 ――いや、待てよ!


「つまりシロはお風呂に入れれば野宿でも大丈夫なんだね?」

「え……、あ、うん。大丈夫だけど……」


 なら話は簡単じゃないか。

「僕がお風呂を作るから、シロも野宿で我慢してくれ」


 目をしばしばさせる面々。僕は馬の手綱を握り、止まらせて降りる。


 なかなか良い広さの地面を見つけると、しゃがみこんで手を触れそして、想像した。

 だいたい人が座った肩くらいの高さに凹む想像を。


 すると寸分狂わずベコリと凹む地面。今度はその穴にガラスのようなものを満遍(まんべん)なく流し、薄いコーティングを施した。

 これで水をいれても濁ることはない。


「後はここに水を張って、火炎系の魔術で熱すれば入れないことはないと思うよ」

 淡々と風呂っぽいなにかを完成させ、シロたちの方を見る。

「にゃはは、露天風呂だにゃー」

 フェイには高評価だったらしい。

「凄い……凄いんだけど……。さ、さすがにオープン過ぎない?」

 たしかにシロたちは女の子、こういう細かいことまで気を付けなくちゃな。

「じゃ、脱衣場と覗き防止用の柵も」

 てきぱきと作っていく。


 シロが頷く風呂に仕上げるまで五分もかからなかった。

「……少年、感謝する」

 と、何故かディーネから感謝の言葉が飛び出してきた。

「ほら、アタシたちも女の子ってことなんだよ♪ いやー、クロくん。わがままを叶えてくれてありがとう」

 そんな大それたことはしてないんだけどな……。


「やっぱりクロは頼りになるね。なにかお礼も考えとかないと」

「いいよそんなの」


 このときはまだ笑いながら話ができた。

 ――問題はテントを張るときに起こってしまった。



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