クロの秘密
ふぅ、完成っと……あ、どうも滝峰つづりです。
こんなに長い間液晶画面とにらめっこしたのは初めてなんじゃないでしょうか(ゲーム以外で)
ちゃんと予定通り6時までに終えることができて正直ほっとしてます。
しっかし書いてる本人が言うのもあれですが物語の進むスピードが遅くありません?←無計画すぎるプロットのせい。
――閑話休題――
最近、魃さんの勢いが衰えはじめました。ふっふっふっ、なんだ魃さんも辛いんじゃありませんか。
これからは週一、いや月一にしましょうそうしましょう!(※なりません)
っと茶番終了、本編をどうぞ( ゜∀゜)つ
「やっぱり僕のマナの循環は独特だった?」
こくりと頷くディーネ。
「独特? どういうこと?」
「不思議な匂いのことだね」
え? と、余計に疑問符が増えるシロ。今回はめんどくさいので助け船は出さないでおく。
「始めに言っとくけど僕のマナ量は魔術師の平均的なマナ量より圧倒的に低い」
ふにゃ? とフェイが驚いた。……そうだ、例を出してみよう。
近くにあった拳ほどの石を持つ。それとその辺の砂も少々。
「この石を魔術師の平均的なマナ量だとすると、僕のマナ量はこれだけ」
砂の一粒をつまみ上げ、ディーネたちに見せる。
「こ、これだけ? そんな冗談よしてよ」
冗談ではない。本当に僕の体内のマナ量はこれくらいしかないんだ。
「……少年、この量じゃ普通は生きてられない。魔術師でなくてもある程度はある」
マナは単なる魔術に使うだけのものじゃない。人の身体、果物、土、木、すべてはマナでできている。
そのなかで身体を作っているマナを除いた、身体に蓄えられてるマナを体内マナ量といい、生き物は動いたりするときにこのマナを消費していると考えられている。
つまり今の話からすれば僕は動くことはおろか、呼吸をすることさえ危ういと言えるのだ。
「ここからが他人に言ってほしくないことなんだけど――僕は、呼吸をするように体外から直接マナを取り込んでる。マナの循環が特殊なのはそのせいなのかもね」
「……体外から」
「ま、マナを!?」
そう、ざっくり言ってしまえば僕のマナ量はこの星にあるマナすべての量ってことになる。
「ちょ、ちょっとクロくん。嘘だとは思わないけど信じられないような話だね……」
「だろうね。でも僕はこの空気中からほしいマナだけを集めて形にする。むしろはじめの頃はみんなのように体内からってマナを取り出す方が変だと思ってたくらいだった」
「……ディ――、私の謎は取り除かれた。スッキリ」
………………。
「ディーネ、僕からもずっと思ってたこと言っていい?」
「……構わない」
「無理して私って使わなくていいよ」
「――ッ!!?」
今までにない驚きの表情を見せたディーネ。そしてリンゴみたいに赤くなっていく。
「……い、いつから」
「ほとんど最初から。ずっと自分のことをディーネって言いかけて、私って直してたよね」
「あーあ……。まあいずれバレると思ってたけどね」
「ディーネさん可愛いね」
ついには顔を手で押さえ、その場にしゃがみこんでしまった。
なんかディーネのこういう仕草がいちいち可愛い気がする。
「クロ……、なんか変なこと考えてるでしょ」
「別に?」
シロはいちいち鋭い。これは確信した。
「ほら、ディーネ馬車に乗るよ? 大丈夫いつかきっとこの事も笑い話になるって」
「………………ん」
フェイに諭され 馬車に乗り込む二人。
「僕たちも行こうか」
「待って、私もクロに一ついいかな?」
あらたまってどうしたんだろう。
僕は取り敢えず頷いた。
「あのね、シルバーウルフの事なんだけど……」
「ああ……冷気系の魔術を使ったことか」
「うん、またあのときと同じ失敗しちゃったなって」
シロの話はきっとシルバーウルフにシロが襲われたときのことだろう。あのとき少女がぶつけたのも冷気系の魔術だった。
「私駄目な魔術師だ。なにも成長してない……」
シロの声がふるえてくる。顔は今にも泣き出してしまいそうなほどくしゃくしゃになってる。
「――そんなことないさ」
だから僕は言ってやった。飾らない言葉で、素直のままに。
「フェイもディーネも言ってたろ? シロは強くなるって。それにあのアイスニードル、僕がほしいタイミングにぴったり重なってた。シロは成長してるんだよ、ずっと君を見てきた僕が保証する!」
「……クロ」
「さ、さあ僕らも乗ろうか。あっちの部隊より遅れちゃってるからね」
シロの視線とぶつかり、急に恥ずかしくなってきた僕は、逃げるように馬車に入った。
「……もう、クロはズルいよ。たまにドキッとする言葉を使うんだもん」
シロはなにを言ったのだろう。乗り込む直前に彼女がぼそりとなにかを呟いてたが、草木のざわめきが邪魔をして聞き取れなかった。