第5舞 球技大会当日の少しかっこいい稜とコンビニでスタンバイするある人物
人間界、6月1日(金)、球技大会当日。
「おぉぉぉぉぉっ!!サクラチャン!!!体操服エロい!!!!」
一人テンションの高い稜は、体操服姿のサクラを見てそう叫んだ。
「お前は……そーいうことを大声で言うな!」
竜生は稜を注意して、開会式に向かった。
サクラもあとに続く。
行く途中、稜は散々話しかけたが、散々無視され、少しへこんでいた。
今日は快晴。スポーツ日和だ。
竜生と稜は、バスケの選手になった。
二人は決勝戦であたることになっている。
「俺に倒される前に負けるなよなっ!」
稜はそんなことを言っていた。
そう言った稜は第1試合で負けた。
………それならば面白かったのだが、稜も竜生も決勝戦まで勝ち上がった。
12:45
「サクラチャン、応援ヨロシクゥ♪」
「ワタシが応援すべきはB組ですので」
スパッと断られた稜は苦笑いで「サクラチャン……」と呟く。
そんなことを話しながら、昼食を食べていた。
食べ終わると体育館へ向かう。
体育館へ着くと、人気者の竜生と稜はクラスメイトに囲まれたので、サクラは一人で2階の観覧席に向かった。
14:05
試合が始まった。
ジャンプボールを取ったのはC組、稜のクラスだった。
「稜っ!パス!」
パスを受け取った稜は、ディフェンスをものともせず、どんどんゴールに近づいていく。
その勢いのままレイアップを決めようとするが、気づいたら手にボールはなかった。
いつの間にか、竜生が取っていたのである。
竜生はすぐさま味方にパスした。
竜生はスリーポイントラインまで走ると、パスを受け取りシュートを放った。
見事入り歓声が起こる。
竜生への黄色い声も飛び交っていた。
「くそーっ!竜生ばっかずりぃ!俺もモテたいんだぁぁー!」
稜はそう叫ぶと、ドリブルで強行突破しようとする。
しかし、竜生に阻まれたので、パスコースを探すが、見つからなかった。
仕方なく、得意の超高速ドリブルで竜生を抜こうとした。
見事抜き去ると、その勢いのままレイアップを決めた。
両者一歩も譲らず、点の取り合いは続き、前半戦は終わった。
サクラは無表情で試合の様子を眺めていた。
というより、竜生を眺めていた。
前半戦が終わり、ふとC組の方を見ると、稜と目があった。
稜は元気に満面の笑みで、ブンブンと手を振った。
サクラは無表情のまま一礼をすると、竜生の方に目を戻した。
周りでは竜生のかっこよさについて語り合っている人や、稜の可愛さについて語り合っている人がいた。
『最初のスリーがかっこよかった』とか『夏目くんのボールをカットした稜ちゃんが凄かった』とかそんな声ばかりが聞こえてきた。
サクラはその声を聞いて、少し寂しい気持ちになりながら、竜生を眺めていた。
竜生は、サクラの視線には気付かず、選手達と作戦会議をしていた。
そんな一生懸命な竜生をサクラはひたすらボーッと眺めていた。
そうしていると、ハーフタイムの10分は終わり、第3Q が始まった。
第1、第2Qとは違い、両者シュートは上手くいかず、守りに入っていた。
第3Qが終わり、現在勝っているのは1点差でC組。
シュートが一本決まれば試合がひっくり返る状況で、両者の疲れはピークに達していた。
インターバルが終わり、第4Qが始まる。
速攻でシュートを決めたのはB組。
また試合がひっくり返る。
第3Qとは違い、両者シュートが決まるようになっていた。
点の取り合いが続き、B組がスリーを入れたことで、試合は振り出しに戻った。
残り25秒。
ここでC組が時間をいっぱいいっぱいに使ってシュートを決めれば、B組には1秒しか残らない。
ほぼC組の勝利が確定する。
C組の選手はパスを回しつつ、時間をつぶそうとしていた。
竜生はそのボールをカットし、ゴール下にいた味方にパスした。
残り8秒。
稜はその展開を予知していたのか、シュートを打とうとした選手からボールを取った。
残り6秒。
稜は味方にパスしつつ、ゴールに近づいていく。
そして、シュートを放った。
そのボールは惜しくもリングにあたり、落ちた。
残り2秒。
竜生はパスを受け取り、ハーフラインにも関わらず、ボールを投げた。
ブザーが鳴る。
ボールはリングにあたり、
入った。
ブザービーターを決めた竜生は今までにないぐらいの満面の笑みで、チームメイトに飛び付く
のではなく、真っ先にサクラの方を見た。
竜生は一瞬固まる。
サクラの頬はほんの少しだけだが、確かに緩んでいた。
帰り道。
運よく稜の魔の手から逃れた竜生はサクラと一緒にコンビニに向かっていた。
さすがに疲れた竜生は、アイスと何か飲むモノを買おうとしていた。
コンビニに入る。
「あれ?xz?」
サクラは声の主の方に顔を向けると、いつもより少しトーンの高い声で
「mjさん!」
そう言った。
サクラがせっかく初めて笑ったのに、軽く流してごめんなさい((
竜生がハーフラインからシュートを決めました。でもあの漫画のアイツみたいにシュートフォームはあんなんじゃなかったんだ。だからアイツとは違う。シュートを放った、じゃなく、ボールを投げた、とちゃんと書いたであろう?
mjの紹介は次の話で。