第2舞 竜生が突っ込み役になるほど天然なサクラたちの日常
「サクラ!何処ーー!」
「ここでございます」
竜生は声のした方に顔を向けると、サクラはいつもの無表情で立っていた。
竜生の鞄を持って。
「もー!ほんとビビるからやめてって言ったじゃん!俺の鞄持っていくのー」
「すみません…」
「ってか、今日まだ準備してないんだって!だから…」
「準備なら、夏目様が就寝されたあとにしておきましたが」
サクラは無表情で言った。
「え、あ、うん、ありがとう……いや、でも!準備ぐらい出来るからそんなことしなくていいのに……」
「すみません……」
「あ、ごめっ…そうじゃなくて……えっと…仕事って、俺が安全に幸せに暮らせるようにすることだろ?俺は今のままで幸せだよ」
竜生は優しい笑顔で言った。
「夏目様」
「ん」
「では、ワタシは何をすれば」
「え、話聞いてた?!だから、サクラは俺の友達になってくれればいいんだよ」
「わかりました。では、行きましょう」
サクラは、竜生の言葉を別の意味にとったらしく、竜生の体を浮かせて、文字通り飛んで行こうとした。
「ちょっ……サクラ!俺の話聞いてた?!」
「え、友達というものは、相手を『助ける』関係じゃないのですか?」
「『助け合う』関係だから!一緒にいて楽しければ友達。分かった?……ってうわぁ!!」
サクラは竜生の話を聞いているのかいないのか、ものすごいスピードで出発した。
サクラの世界で教えられた人間とは、
欲深く、自分のためならば人をも殺し、他人のことなど考えない
というモノだった。
人間は我々のことを奴隷のごとく扱う。
そう習った。
だから、サクラは嬉しかった。
『友達』という言葉がうわべだけだとしても、嬉しかった。
でも、サクラは嬉しいという感情を表す術を知らないので、無表情のままだった。
「夏目様はお優しいのですね」
「え、なんてー?」
ものすごいスピードで飛んでいるため、竜生は風の音で聞こえなかった。
竜生がふとサクラの方を見ると、笑っている気がした。
教室に着くと、みんなはサクラが見えているのかいないのか、
「おはよー!竜生!」
「夏目くーん!おはよー」
と、竜生に対してだけの挨拶が響いた。
普通、男女で登校してくると、
「おー?なんだお前らー」
「ひゅーひゅー」
とかいう冷やかしが入る。
特に付き合っていない男女に。
でも、竜生とサクラが登校しても何も言われなかった。
「なぁ、サクラ」
「何ですか?」
「みんなにサクラのこと見えてないのか…?」
「見えてますよ」
サクラは無表情で淡々と答えた。
「え、じゃあ何でみんな見えてないみたいな反応?」
「それは、ワタシの存在を限りなく0にしてるからですよ」
みんなの意識を、サクラではなく、他のものに向けさせることで
サクラの存在は、空気と同じぐらい気にならないものになっている。
「ふーん……何でも出来るんだな……」
そう言って、竜生とサクラは席についた。
FairyAngelは、きっと魔法的な何かが使えるんだよ。うん。(
絶対、自分を見させないような魔法。きっとそうだ。((