第1舞 桜と共に舞い降りてきたからという単純な理由で名前が決まったサクラ
「2196m67xz」
此処は、人間界よりも遥か遠くにあるセカイ。
「はい」
ワタシたちに、名前など必要ない。シリアルナンバーさえあればいい。
「お前の仕える者が決まった。名前は・・」
ワタシたちは、FairyAngelと呼ばれる。
FairyAngel は15歳になると働かなければならない。
それが、此処のキマリ。
仕事内容は、人間に仕えるコト。
主を危険から守り、必要であれば世話をし、主が暮らしやすいように手助けをする。
もちろん、失態を犯すと、処分される。
罰は場合によって様々だが、ひどい場合、皆の前から、そして記憶からも消される。消し去られる。
「明日から、淳真高校に行け。手配はすべて済ませてある」
「はい」
人間界 4月9日(月)
夏目 竜生は一人で学校にむかって歩いていた。
「んー!いい風ー!しかも桜も満開!こんな日に入学式なんて超ラッキー」
夏目竜生は人気者だ。
勉強も運動もできて、顔もよくて、おまけに優しい。
文句なしで、女子からはモテモテ。そして、男子からも人気がある。
「花見すればよかったなー。失敗したかも」
ふと、竜生は桜を見上げた。
すると空が一瞬光った。桜が舞っている。
桜の舞い散る中、一人の少女が空から舞い降りてくるのが見えた。少女はひたすら無表情で、しかし、誰よりも何よりも美しかった。
「はじめまして。今日から貴方様に仕えさせていただくことになりました」
少女は地へ降り立つと、頭を深々とさげて言った。
竜生はただただ、少女に見惚れていた。
しばらくして、気がつくと、この少女の言ってることを頭が処理し始める。しかし、もちろん、理解出来るはずもなかった。
「つ・・・・つか・・え? ん?え?え?」
「仕える、でございます。ボディーガードみたいなものです、夏目様」
「え、いや、ちょ、まっ・・じゃなくて、その前に、さっき空から・・」
竜生は空を見上げる。ただ桜が舞っているだけだった。
「とりあえず、夏目様。急がないと学校に遅れるのでは・・」
「え、うっわ、マジだ!ってか、君もじゃないの?」
「はい、ワタシもですね。急ぎましょう」
「つまり、君は人間じゃない、と」
「はい」
入学式も終わり、家に帰ってきた。
幸い、今日は父も母もいなかった。
「えーと?え、ていうか名前は?」
「2196m67xz、でございます」
「いや、それ名前じゃないから!」
「しかし・・」
「クラス表の紙に名前書いてなかったっけ?いや、書いてないとおかしいよね?」
「書いてありませんでした。少し周囲の人たちの意識をいじって、ワタシの存在自体を有耶無耶にしましたから。」
「そんなことできんのか・・。えっと、じゃあ、んー・・」
何か名前・・・
空・・・・光・・
・・・桜。
サクラ。
「サクラ!サクラって名前はどう?」
「サクラ・・」
「桜と一緒に舞い降りてきたから、サクラ!・・・気にいらなかった?」
「いえ、あの・・名前なんて初めてだから」
『サクラ』は、嬉しそうな、照れくさそうな、そんな顔をしていた。まあ、竜生以外が彼女を見ても、無表情にしか見えなかったのだが。
「んじゃあ、サクラ、な」
『サクラ』と竜生の、新たな生活の始まりでした。
余談。設定の説明。
==サクラのシリアルナンバーについて==========
『2196m67xz』は、
2196年生まれの、mグループの、67番目の……
xzはテキトーですね、ハイ。恐らくxzは親が選べるみたいな……名前が選べるみたいな……そんな設定なはず((
だから、FairyAngelたちは最後の二文字部分で呼び合うっていう設定のはず((
同じ名前がいるのは、人間界でも同じことさ。そーゅぅ場合はテキトーに呼び分けてるんだよ、うん。((
ちなみに、一グループ100人設定なはず!(
==サブタイトルについて==========
第1舞、というのは、第1部って言うのにかけました。ハイ。
桜が舞うみたいな((
==登場人物について==========
竜生くんの思考が単純なのは悪しからず……竜生がサクラの名前を考えるまで、サクラって名前は決まってませんでした、ハイ。
サクラの表情は全く変わらないが、極小さい変化を竜生はわかる、って設定。((
せ……設定だから何でもアリなんだっ←
==タイトルについて==========
Fairy(妖精)なのか、Angel(天使)なのか、っていう突っ込みはなしで((
FairyAngel なんだ!異論は認めん!(
余談長くなりました。すいません。