恋という遊び、愛というには儚い夢?
文うちのれんしゅーと気晴らしの即興シリーズ。
ライトノベルであることは、放棄。
ようするに……。
たいていのことは、限界をこえてしまうと苦痛になる。
苦痛になってしまえば、楽しいことでも楽しくない。
そういう何かを誰だってもっていて当たり前、当たり前じゃないほうが変だ。
この感覚が変だというなら、どうして俺がこういう気持ちなのか説明してほしい。
分からない、分からないですませられるわけない。
説明してほしいといってるんだから、説明しろよな!
→ 恋という遊び、愛というには儚い夢?
突然襲来したハンターによって捕獲された俺、名前は熊男という。
元々この街が熊白町と言うところから付けられた名前で深い意味はないらしい、こういう場合の名前は勢いで決まるものなので、そこに意味をもとめられても困る。
導入は授業をサボった午後に雨、そこに現れた女の子との帰り道。
わりとありそうな場面から、今、目の前にある状況に俺は愕然としている。
問題の発端は最初から決まっていて、行き着いた先にあるのがこういう事態になるのも分かっていたから逃げたのに。
そんな俺の気持ちを打ち砕くかのように、ちょっと鼻にかかった甘い声を合図にしてそれは始まった。
「はーい、みんな。今日の授業は不純異性交遊・カップリング編だよ♪」
黒板にでかでかと書かれている不純異性交遊の六文字は、今日の授業のテーマだった。
国語の教師らしく無意味に難しい漢字を使っているが、その古めかしい文字に何か意味があるかというとない。
前回は確か強制陵辱あたりのハードな漢字で、教室中が大騒ぎだったこと記憶がある。
この教師は女というか女に見える。というか女の子だ。身長は140cmくらいしかない。
容姿を描写している余裕もはないので、かわいい女教師は11歳にしておく、11歳はその姿形のわりにやることが破天荒で、色々ない意味で恐れている。
うちの高校は普通、普通すぎてどうにもならないほど普通なのだが、人材がおかしい、おかしいというか狂っている。
巻き戻すのも面倒なので、簡単に話すと捕獲された俺は逃げることもできず、学校に連行された。
そして俺を捕獲を命令してきたのにはそれなりの理由があったらしい。
「せんせー今日ね、おもちゃ作ってきたよ!」
おもちゃ、あまりいい響きではない気がする。きっと想像力の限界をこえたエナジーの幾先にあるのは、妄想という、
「ラヴラヴだーいす」
11歳は自分の身長なみに大きいサイコロをどこからともなくとりだした。思っていたより普通の展開、けどそれなりに嫌な予感もする。
なぜなら俺の隣にいるのは名だたる男を狩った女、ハンター神流。
「熊男くんは、神流ちゃんとカップリング! あと遅刻してきたからいちばんさいしょ。えとね、出た目の関係になること」
……ものすごくわかりやすいです。ありがとう。
「じゃ、フルよ」
11歳の瞳に炎が宿り、異常な緊迫感が教室に満ちはじめる。無駄な気迫が全身に漲り、両手が宙にふりあげられた! 空中に飛行した四角物体はくるくると数度回る、しばらくどちらに行くか迷っているかのように浮遊していたが素直に床にむかってダイヴした。
俺と神流の関係? がどうなるか、全てはこのサイコロの目にかかっている。教室全員の視線が歩みを止めようとするサイコロ目に集まった――俺たちの行く末にある。
というかこれ何の授業なの?
「決まり、二人の関係は付き合いはじめの恋人さん。でも面白くないなあ、熊男くんたちだったらこれだよね」
11歳の出した面に書かれていたのは、
【嫌がる相手を無理やり襲う】
……なにをさせる気。
「ま、いいか。それじゃあ、はりきって恋人しよう」
相手が初月だからなのもあって気楽だった。とりあえずやらないで逃げられるほど、この11歳は甘くない。
だから逃げた。それをハンターまで雇って追わせる執念、あとで五倍返しはされる。あの教師ちっこいのに異常に強い。
俺はどうするか少し迷った。付き合いはじめの恋人同士という設定なので、ちょっと距離感があったほうがいいかなあ。
って、なんで真面目考えているんだ。俺は、と、とりあえずいつものように声をかけてみる。
「初月、あのさ」
俺の言葉に初月は一瞬、沈黙したあと言う、
「名前で、よんでほしいな」
そんなことができるわけ……な、名前くらいならいいかな。
「え! あ、うん。か、神流」
「うれしい、はじめてよんでくれたね」
「あ、ああ」
「熊男、私のこと好き?」
「……」
「ねえ、好き?」
何かものすごく楽しそうな初月。真剣な瞳でみつめてくる。
そ、そんなことを素直に言えるわけがない、好きかどうかが問題というよりもさ、
しばらく迷ったあげく、俺は、
「す、す、すてーき」
瞬間、時が止まった。
しまったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。
すべった。
発言を聞いた初月から殺気が立ち上る……聴衆のみなさんの目がいたい。
同時に11歳があきれて、
「熊男くん、失格! 初月さんやっちゃえ」
この劇の終了は宣言した。初月は大きく、大きくうなずいた。
「熊男さ、乙女の怒りってしってる」
「お、乙女って柄かよ。このハンター、いたいけな男子」
「うっさい、黙れ!」
ガゴン。
「いでえ」
本気でなぐりやがった。また、この展開かよ!
「はーい、初月さん。ありがとう。熊男くんはあやまってね」
よく分からない敗北感に包まれながらも俺は教室のみんなに向かって頭を下げる。
「ご、ごめんなさい」
うう、だから帰ってきたくなかったんだ。
俺はふつーの普通学園生活を送りたいだけなのに、それを許してくれないなんておかしいよ!
こんなクラス出てってやる。ぜったいに逃げてやる!
胸に沸き起こる理不尽な衝動に熊男はそう誓った。この世界にある真実、彼にとって過去という記憶に封印された想いだ。その想いを探すため、熊男は行くだろう。
だが、同時にそう簡単にこの場所から逃げられないことを熊男自身も知っている。
高校生活、そこにある複雑な人間模様と過ぎ行く時間はまだ始まったばかりなのだ。
と、なぜかモノローグぽくなったが、書き方の練習しているだけなので気にしてはいけない。