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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

捨てられたビニール袋

作者: どうさん
掲載日:2026/07/30

社会の音が「雑音」に聞こえて息苦しく生きる青年のショートストーリーです。

決して後味が良い作品では、ございませんので、覚悟の上お読みください。

*鬱展開やショッキングな描写が苦手な方はご注意下さい。

見もしない朝の報道番組が流れる中、鹿嶋晴人は、母が焼いたトーストをくわえていた。


「あんた新しい会社は、どうなの……本当に困ったもんだ…」  


テレビも母の声も雑音だらけだった。


いつも通り靴を履き、いつも通りドアを開ける。

良く晴れた爽やかな朝日が晴人を照らす。

しかし、そんな朝日も晴人には邪魔くさく思えた。

いつもの道、いつもの電車  

そしていつもの会社……  


雑音だらけ

気の狂いそうなかで、ただやらなきゃいけない仕事を淡々とこなす。

マリオネットならまだマシさ。

ささやかな風にさえも抗えない捨てられたビニール袋のようだ。


くだらない……。


17時、定時間に席を立つと、雑音…

「おい、鹿嶋!資料は、出来たのか」  


無視。


「おい鹿嶋、鹿嶋!……ったく」



駅へと向かう途中行き交う人々  

ぶつかって来ても謝らない奴  

こっちが携帯見ててぶつかったのに謝ってくる奴  


変なの…。


駅前のベンチにため息をつきながら座り込む。  

眼鏡ごしに人混みを睨むように見る 。 


でかい声で騒ぐバカップル

てめえらも、俺と同じ底辺なくせして楽しそうにしてんじゃねえよ。

居ない人の悪口が止まらないママ友たち

そんなに嫌なのに何で直接言わない、嫌な奴らだ。

会社の愚痴で盛り上がるサラリーマン

マリオネットのくせして口だけは一丁前だ。


どいつも、こいつも

お前も…お前も…お前も…


目の前の光景に耐えきれずにため息交じりに空に視線を逃がす。

何処かへ旅立つ飛行機にも寝床に帰るカラスでさえも、なんだか幸せそうで腹が立つ。

段々と赤く染まって行く太陽にも馬鹿にされてるようだ

また…ため息…


ざわざわと街の雑音が増していき心に刺さる。


ざわざわざわざわ  


段々と街の風景が揺れて見えだす 。 


ざわざわ


増していく街の騒めきと心の騒めきがシンクロしていく。


壊れそうだ…………

壊れそう………

心が……

壊れる…


騒めきが頂点に達すると、パチンっとまるでブレーカーが落ちたように目の前が暗くなる



「おいお前!」

ドクンドクンと心臓の音が脳裏に響く、血の匂い、手がなんだか妙に暖かい。

問いかけに我に返った晴人の目の前には、何人もの人が刺され倒れている。


「武器を捨てろ」

警察官が晴人を囲む。


気が付けば晴人は、ナイフを手に立っていた。


ハハハ、何で可笑しいんだろ何故か笑える

警察に抑え込まれた晴人は、不敵に笑っていた。

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