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雷に打たれた軍神に拾われた少年、やがて西国無双になる ―立花宗茂戦記― 【完結済/一気読み推奨】  作者: 筑紫隼人
第一章「雷の子」

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第4話 雷神

はじめまして。筑紫隼人です。


本作は戦国時代の九州を舞台にした歴史小説です。


主人公は「西国無双」と呼ばれた武将、立花宗茂。

島津・龍造寺・大友が争った九州戦国史を中心に描いていきます。


史実をベースにしつつ、人物の会話や心理描写は創作も交えて書いています。


歴史好きの方に楽しんでいただければ嬉しいです。

雨の夜だった。


筑前の空に、黒い雲が広がっていた。


遠くで雷が鳴る。


若い武将が城門をくぐった。


高橋統虎。


まだ十六の少年だった。


ここは立花城。


彼は今日から、この城の武将になる。


統虎は城を見上げた。


高い石垣。


険しい山城。


だが不思議と、恐れはなかった。


門の奥から声がした。


「来たか」


そこにいたのは


立花道雪だった。


白い髪。


鋭い目。


体は輿に乗っている。


足はすでに動かなかった。


だが、その気配は戦場の将そのものだった。


統虎は膝をついた。


「高橋統虎にございます」


道雪はしばらく統虎を見ていた。


まるで武器を見るような目だった。


やがて言った。


「顔を上げろ」


統虎は顔を上げた。


道雪は聞いた。


「戦は好きか」


統虎は迷わなかった。


「好きです」


家臣たちが少しざわめいた。


だが道雪は笑った。


「そうか」


そして言った。


「ならば立花で戦え」


その時だった。


空が光った。


次の瞬間。


轟音が城を揺らした。


雷だった。


家臣たちが空を見上げる。


道雪は動かなかった。


ただ空を見ていた。


そして言った。


「雷は嫌いか」


統虎は首を振った。


「いいえ」


道雪は小さく笑った。


「昔」


「わしは雷に打たれた」


家臣たちが黙る。


それは有名な話だった。


若い頃の道雪は戦場で落雷に遭った。


その時から体は動かなくなった。


だが。


戦をやめなかった。


むしろ前より強くなった。


人は彼をこう呼ぶようになった。


雷神。


道雪は統虎を見た。


「人は」


「死ぬときは死ぬ」


「だが」


「武将は逃げてはならん」


統虎は黙って聞いていた。


雷がまた鳴った。


道雪は続けた。


「統虎」


「今日からお前は立花の男だ」


「そして」


少し間を置いた。


「いずれこの家を継ぐ」


統虎の胸が静かに高鳴った。


道雪は言った。


「九州は戦になる」


「島津が来る」


その名を聞き、統虎の目が変わった。


戦の名だった。


しばらく——


道雪は、雨の庭を見ていた。


雷が、また遠くで鳴る。


「統虎」


「はい」


「強さとは——何だと思う」


統虎は、少し考えた。


「……敵を倒すこと、でしょうか」


道雪は——答えない。


雷の音が、遠ざかる。


「違う」


静かに、言う。


「強さとは——守ることだ」


統虎は、顔を上げる。


「守ること——ですか」


「ああ」


「民を守る。家臣を守る。領地を守る」


「それができる者が——本当に強い」


一拍。


「敵を斬るだけなら——誰でもできる」


「しかし——守り続けることは」


道雪は、輿の上で統虎を見る。


「命を、かけなければできない」



統虎は——


その言葉を、胸の中で、転がした。


守ること。


戦うことではなく——守ること。


「……分かりました」


「本当に分かったか」


「……まだ、分かりきっていません」


道雪は——笑った。


「正直だな」


「しかし——」


「はい」


「一生かけて——分かればいい」


「俺も——まだ、分かりきっていない」



道雪は言った。


「その時」


「立花の槍は——お前だ」


統虎は深く頭を下げた。


外では雷が鳴っていた。


その夜。


雷神のもとで。


一人の武将が生まれた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


岩屋城の戦いは戦国時代でも屈指の壮絶な戦いとして知られています。

わずか数百の兵で三万の島津軍に立ち向かった高橋紹運の最期は、九州戦国史でも非常に有名な出来事です。


もし面白いと思っていただけましたら、


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【2日で500PV突破!】西国無双・立花宗茂、その圧倒的武勇と義理を貫いた生涯を描く本格戦記。雷神・道雪に拾われた少年が、乱世を駆け抜ける!
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