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雷に打たれた軍神に拾われた少年、やがて西国無双になる ―立花宗茂戦記―  作者: 筑紫隼人
第二章「継ぐ者」

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第17話 柳川、水の城

筑後の戦は、次の段へ進んでいた。


犬尾、竹井――

立て続けの攻略で勢いに乗る大友勢。


だが、その前に立ちはだかる城は、これまでとは格が違った。


柳川。


水に守られた難攻不落の城。



「厄介だな」


紹運が吐き捨てるように言う。


道雪は輿の中で、静かに目を細めた。

「うむ。ここは力では落ちぬ」


柳川城は、無数の水路と湿地に囲まれている。

道は限られ、兵の展開も制限される。


無理に攻めれば、逆に損害を出すだけだ。



「どう崩す?」


紹運の問い。


道雪はしばし黙し、やがて言う。

「兵ではなく、“場”を崩す」


「場?」


「水だ」



柳川の強さは、水にある。


ならば――

その水を逆に使う。



数日後。


大友勢は城の周囲に広く展開した。


正面からは攻めない。


ただ、じわじわと圧をかける。


兵を散らし、補給路を断ち、周辺の集落を制圧していく。



「締め上げるわけか」


紹運が言う。


「そうだ。城は生き物だ。息を止めれば、いずれ弱る」



さらに道雪は命じた。


「水路を調べよ」


兵たちは泥に足を取られながら、水の流れを探る。


どこから水が入り、どこへ抜けるのか。


それを徹底的に洗い出す。



「……なるほどな」


数日後、紹運が頷いた。


「水門を押さえれば、城は自由に動けなくなる」


「そういうことだ」



だが――


敵も黙ってはいない。


龍造寺方の援軍が、周辺で動き始めていた。



「来るぞ」


物見が駆け込む。


「数は?」


「およそ三千――秋月、草野の兵も混じっております!」



紹運が笑う。

「ようやく来たか」


道雪も静かに言う。

「ここが肝だ」



柳川を攻めながら、外の敵とも戦う。


この二正面をどう捌くかで、戦の行方は決まる。



「紹運」


「なんだ」


「外の敵は、お前に任せる」


「いいのか」


「お前が一番、動かせる」



紹運は即座に立ち上がる。


「任された」



その日の夕刻。


紹運は兵を率いて、柳川近郊の平地へと出た。


敵はすでに布陣している。


数では互角か、やや劣る。


だが――


「関係ねえ」


紹運が前を見据える。



「前衛、下がれ」


意外な命令だった。


兵が一瞬ざわつく。


だがすぐに動く。



敵はそれを見て、勢いづく。


「押せぇ!」


前進してくる。



その瞬間。


「今だ」


紹運が手を振る。



左右の林から、伏兵が現れる。


さらに、背後に回していた部隊が敵の退路を断つ。



「挟め!」


鉄砲が火を吹き、敵陣が崩れる。


前へ出た勢いのまま、引くこともできない。



「……やっぱりな」


紹運が呟く。


「釣られたか」



敵は完全に包囲され、潰走した。



一方その頃。


柳川城の周囲では、道雪が静かに布陣を進めていた。


輿に乗り、水路を見つめる。


「……ここだな」



水門の一つ。


そこを押さえれば、水の流れが変わる。



「兵を出せ」


小隊が密かに動き、水門へと取り付く。


敵の警戒は、外の戦に向いている。



「今のうちだ」



やがて、水の流れが変わる。


城内の水位がわずかに狂い始める。


舟の動きが鈍る。


補給の導線が乱れる。



「効いてきたな」


道雪が呟く。



数日後。


城内の動きは明らかに鈍っていた。



「紹運、戻ったか」


「外は片付けた」



二人は短く言葉を交わす。



「あと一押しだ」


「どうする」



道雪は静かに言う。


「開城させる」



攻め落とすのではない。


崩して、降ろす。



柳川城。


その巨大な水の要害は、いま静かに追い詰められていた。



戦は、まだ終わらぬ。


だが――


勝ちの形は、見え始めていた。

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【2日で500PV突破!】西国無双・立花宗茂、その圧倒的武勇と義理を貫いた生涯を描く本格戦記。雷神・道雪に拾われた少年が、乱世を駆け抜ける!
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