第15話 筑後奪回作戦本番
天正十四年八月十九日。
筑後平野に朝霧が薄く晴れ始める。
道雪と紹運は本陣にて最終確認を終え、兵を鼓舞する。
「猫尾城の守りを崩す。伏兵と鉄砲隊は計画通り動け」
「儂らの連携次第で、敵は自ら油断する」
前衛隊は丘陵と川筋を利用して慎重に進軍。
伏兵隊は林や土手に潜み、指揮者の合図を待つ。
猫尾城に近づくと、城方の見張りが動揺し始める。
鉄砲隊の連射が城外に響き渡り、城兵は散開。
槍隊は丘陵を駆け下り、側面から城門を狙う。
道雪は輿に乗って平野を見渡し、指揮を執る。
「伏兵よ、動け。城兵を挟め」
伏兵は林から飛び出し、城兵を混乱させる。
紹運も声を上げる。
「前衛、城壁の搦手を抑えよ」
城兵は挟撃と射撃の連続で抵抗し、混乱の中、数名が討ち取られる。
猫尾城の城将・椿原正治は、道雪と紹運の戦略を悟り、城門を開け降伏を決意。
「開けよ!」
号令と共に城門がゆっくりと開く。
城内に入った両将は兵を整え、城内の安全を確保する。
伏兵隊は城門前で敵兵を押さえ、城内での混乱を最小限に抑える。
その勢いのまま高牟礼城へ移動。
道雪は輿に揺られながら平野を見渡し、敵の陣形を把握する。
「伏兵は丘陵に残し、敵の動きを封じよ」
紹運は兵士たちに号令をかけ、城門前での布陣を指示。
高牟礼城の城将も事態を悟り、降伏を決める。
「開城する」
城門が開かれ、両将の布陣と計略の勝利が鮮やかに示された。
戦いの後、道雪と紹運は城内に陣を置き、兵士たちを休ませる。
「耳川の敗北を思えば、この勝利は大きい」
道雪は静かに呟く。
紹運も頷く。
「だが、次の戦いもある。油断はできぬ」
夜、両将は次の作戦を練る。
犬尾城、竹井城、星野城と攻略すべき城はまだ多い。
伏兵、鉄砲隊、前衛の連携をさらに精密にし、民心掌握も考慮する。
月明かりの下、筑後平野には戦の余韻が静かに広がる。
道雪と紹運の戦略眼と兵の忠誠心が、筑後奪回作戦を成功に導いた証である。




