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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第23話 断れるはずなのに断れない話をされました

正式な打診は、思ったよりも早かった。



翌日の朝。


登校してすぐ、

俺たちのチームは再び呼び止められた。


「……またか」


セラが、露骨に顔をしかめる。


今回は、会議室ではない。

学園長室だった。


(……格、上げてきたな)



室内には、昨日の参謀が一人だけ立っていた。


書類も、武装もない。

だが、立ち姿に無駄がない。


「今日は“正式な打診”だ」


参謀は、そう前置きした。


(……来た)



「まず確認する」


「これは命令ではない」


「断ることも可能だ」


(……建前)


「だが――」


一拍、置く。


「断った場合の選択肢は、減る」


(……本音)


空気が、重く沈む。



参謀は、机の上に地図を広げた。


学園の外。

王国領の端。


「魔力異常が発生している地域だ」


「調査部隊を出したが、

近づくだけで循環が乱れる」


(……嫌なやつだ)


「通常の対処では、

被害が拡大する可能性が高い」


(……つまり)


「君が、適任だ」


視線が、俺に向く。



リーナが、即座に口を開いた。


「“君”というのは、

ユウト個人?」


参謀は、首を横に振る。


「チーム単位だ」


(……そこは評価する)


「危険度は?」


「中」


セラが、鼻で笑う。


「信用できるかよ」


参謀は、即答した。


「信用しなくていい」


(……正直だな)



エリシアが、静かに問う。


「学園の立場は?」


参謀は、少しだけ言葉を選んだ。


「学園は――

“送り出す”方向だ」


(……来た)



学園長が、初めて口を開く。


「正直に言おう」


「この学園は、

君をこれ以上、安全に管理できない」


(……それは、責められない)


「外に出ることで、

危険は増える」


「だが――」


「ここに留める方が、

別の危険が増える」


沈黙。



俺は、ゆっくり息を吐いた。


(……綺麗な追い出し方だ)


悪意はない。

合理的。

正論だ。


だからこそ、

拒否しづらい。



「期限は?」


俺が、そう聞くと、

参謀は即答した。


「三日」


(……短い)


「準備期間も含めて?」


「含めない」


(……容赦ないな)



部屋を出た後、

俺たちは無言で歩いた。


中庭まで来て、

ようやくセラが口を開く。


「……行く気か?」


(……直球だな)


俺は、答えなかった。



リーナが、静かに言う。


「行けば、

学園には戻れない可能性が高い」


「断れば――」


言葉を切る。


「もっと不利な形で、

外に出される」


(……詰んでる)


エリシアは、腕を組む。


「政治的には、

“今行く”のが一番被害が少ないですわ」


(……分かってた)



俺は、三人を見る。


(……選択肢は一つ)


だが、

それを即答するほど、

俺は大人じゃなかった。


「……今日は、考えさせてください」


誰も、否定しなかった。


それが、

答えを急かさないことが、

答えは決まっていると

全員が理解している証拠だった。



その夜。


ベッドに横になり、

天井を見る。


(……学園、短かったな)


五年制のはずだった。

まだ、一年も経っていない。


だが――


ここで留まる未来は、

もう存在しない。


俺は、静かに目を閉じた。


次に開くとき、

俺の居場所は、

もう学園の中ではないのかもしれない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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