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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第22話 味方が増えたはずなのに逃げ場が減りました

異変は、敵意よりも静かだった。



合同演習から数日。


他チームからの視線は、露骨に減った。

代わりに増えたのは――教師の数だ。


廊下。

訓練場。

食堂の隅。


(……配置、増えてるな)


監視、というほどあからさまではない。

だが、偶然にしては重なりすぎている。


リーナが、小声で言った。


「……警戒、上がった」


「昨日までは、生徒向けだった」


「今日は、大人向け」


(……なるほど)



午後の授業が終わった後、

俺たちは再び呼び出された。


今度は、チーム全員だ。


通されたのは、

前回よりも広い会議室。


(……人数も増えてる)


学園長。

教師数名。

そして――


見慣れない男が二人。


制服ではない。

だが、隙がない。


(……王国側か)



「まず、謝罪しておこう」


学園長が、そう切り出した。


(……珍しい)


「今回の合同演習は、

君たちを“評価”するためのものだった」


セラが、眉をひそめる。


「評価は、終わったんだろ」


学園長は、首を振った。


「いや。評価が想定を超えた」


(……知ってる)



王国側の男が、口を開く。


「王国軍参謀部の者だ」


(……軍か)


「安心してほしい。

今日は命令ではない」


(それ、前置きとして最悪なやつだ)


「ただ――」


視線が、俺に向く。


「君の存在が、

学園の枠を超え始めている」


(……来たな)



エリシアが、自然に一歩前に出る。


「確認させてください」


「本日の目的は?」


参謀は、少し驚いた顔をしてから答えた。


「打診だ」


(……まだ、確定じゃない)


「将来的な、

外部任務の可能性について」


空気が、ぴんと張り詰める。



学園長が、俺を見る。


「誤解しないでほしい」


「これは“処分”ではない」


(……強調する時点で、怪しい)


「だが――」


「学園は、本来、

君を収容し続ける場所ではない」


(……来た)



俺は、静かに聞いていた。


感情は、まだ動かない。


(……予想通りだ)


無双した。

評価された。

その結果――


居場所が、狭くなる。



セラが、苛立ちを隠さず言う。


「つまり、

強すぎるから出て行けってことか?」


参謀は、即答しなかった。


その沈黙が、答えだった。



リーナが、冷静に言う。


「まだ“可能性”の話」


「決定ではない」


参謀は、頷く。


「その通り」


「だが、

準備は必要だ」


(……逃げ道、塞ぎ始めてる)



学園長が、最後に言った。


「今日のところは、ここまでだ」


「だが――」


「君たちのチームは、

今後、学園内での自由行動を制限する」


(……減点)


「代わりに、

特別演習への参加を認める」


(……実質、隔離)



部屋を出た後。


廊下は、妙に静かだった。


セラが、低く言う。


「……面白くねぇ」


リーナは、頷く。


「囲い込みが始まった」


エリシアは、表情を崩さない。


「まだ、優しい段階ですわ」


(……それが一番怖い)



部屋に戻り、

ベッドに腰を下ろす。


(……逃げ場、減ったな)


敵が増えたわけじゃない。

味方が減ったわけでもない。


だが――


選択肢だけが、確実に減っている。


学園にいられる時間は、

思っていたより短いのかもしれない。


そして俺は、

次に来る言葉を、

もう予測できてしまっていた。


――

「君には、学園の外でやってもらいたい」


それが、

命令になるか、

要請で終わるかは――

まだ分からない。


だが一つだけ確かなのは。


もう、

何も起きずに学園生活を続ける未来は、

消えたということだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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