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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第21話 勝ったはずなのに居心地が悪くなりました

変化は、はっきりとした形では現れなかった。


だが――

確実に、空気が変わった。



合同演習の翌日。


教室に入った瞬間、視線が刺さる。


(……増えたな)


好奇心ではない。

賞賛でもない。


もっと湿った――

評価が終わった後の目だ。


「……あいつら、運が良かっただけだろ」


「教師が甘すぎる」


「特別枠がいる時点で、反則だ」


聞こえるようで、聞こえない距離。


(……分かりやすい)



特に顕著だったのは、

演習で二位以下だったチームだった。


彼らは、勝てなかった理由を探す。


そして一番楽なのは――

“自分以外”に理由を置くことだ。


「ユウトがいなければ――」


「調整役がいなければ――」


「貴族が付いてるのも不公平だ」


(……全部、事実ではある)


だが、

それを理由に敵視される筋合いはない。


……と言いたいところだが。


(立場的には、仕方ないな)



昼休み。


食堂で、露骨な事件が起きた。


俺たちのテーブルの前に、

別チームの生徒が立った。


貴族二人。

平民一人。


編成的に、

「実力はあるが、勝てなかった」チームだ。


「……少しいいか」


声は、低い。


セラが、即座に立ち上がる。


「何だ?」


(……待て)


俺は、軽く手で制した。


「……要件は?」


貴族の一人が、俺を見る。


「お前じゃない」


(……来たな)


「特別枠がいなければ、

結果は違った」


(正論でもあり、暴論でもある)


「学園の評価が歪んでる」


周囲が、静まる。


(……教師、見てるな)



リーナが、静かに言った。


「歪んでいるのは、評価じゃない」


「前提」


貴族が、眉をひそめる。


「何だと?」


エリシアが、柔らかく微笑む。


「公式行事は、編成も含めて評価対象ですわ」


(……刺す言い方)


「納得できないなら、

来年も同じ結果を出せばよろしい」


(……完全論破)


だが――

それで終わらないのが、人だ。



平民の生徒が、一歩前に出た。


「……あんたたちが強いのは分かる」


「でも――」


視線が、俺に向く。


「ユウトがいる限り、

俺たちは“正当に評価されない”」


(……これが本音か)


空気が、重くなる。


(ここで言い返すと、完全に敵になる)


俺は、少し考えた。


そして――

否定しなかった。


「……そう思われても、仕方ないです」


場が、凍る。


セラが、驚いて俺を見る。


リーナも、僅かに目を見開いた。



「でも」


俺は、続ける。


「だからと言って、

手を抜くつもりはありません」


「勝った結果は、変わらない」


沈黙。


「それが、不公平だと思うなら――」


一拍、置く。


「次は、

僕抜きで勝ってください」


ざわつき。


(……言ってしまった)


だが、これは挑発じゃない。


選択肢を渡しただけだ。



相手は、何も言わずに去った。


その背中は、

怒りよりも――

焦りを帯びていた。



その夜。


リーナが、ぽつりと言った。


「……敵、増えた」


セラは、腕を組む。


「上等だ」


エリシアは、微笑みを崩さない。


「予想通りですわ」


俺は、ベッドに腰掛け、天井を見る。


(……これが、反動か)


勝った。

評価された。


その代わりに――

居場所が、少しずつ削られていく。


学園は、

安全な場所ではなくなり始めていた。


そして、

この空気を一番正確に理解しているのは――

間違いなく、教師たちだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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