第20話 学園公式行事で組まされた即席チームが噛み合いすぎました
王立魔導学園には、年に一度の公式行事がある。
合同演習。
座学でも模擬戦でもない。
複数人で課題をこなし、
判断力・連携・被害抑制を評価する――
学園が「生徒を戦力として見る」数少ない機会だ。
(……早くないか?)
入学して、まだ一ヶ月も経っていない。
だが、俺は呼ばれていた。
◇
「特別枠ユウト」
演習担当教師が、名簿を見ながら言う。
「君は、編成指定だ」
(ですよね)
そして、続けて名前が呼ばれる。
「リーナ・アルフェル」
「セラ・グレン」
「エリシア・フォン・ヴァルデン」
(……揃えたな)
教師は、淡々と告げた。
「以上四名を、一チームとする」
周囲が、ざわつく。
理論特化
武闘派
貴族政治枠
そして特別枠
(……実験だ)
学園側が、
俺を中心に置いた場合、何が起きるか
それを見に来ている。
◇
課題は、簡単だった。
「制限区域に設置された魔力炉を安定化せよ」
敵性魔物あり
施設破壊は減点
無力化優先
(……嫌な条件だな)
セラが、肩を回す。
「壊せば早いのに」
リーナが、即座に言う。
「それだと、評価が落ちる」
エリシアは、微笑んだ。
「記録に残るのは、被害ゼロですわ」
(……方向性は一致してる)
俺は、短く言った。
「役割、決めます」
三人が、こちらを見る。
◇
「セラ、前」
「魔物を引き付けて」
「……了解」
即答だった。
「リーナ、後方」
「魔力流と構造把握」
「分かった」
迷いがない。
「エリシア」
「外周と記録」
「教師の視線、気にして」
彼女は、楽しそうに微笑む。
「得意分野ですわ」
(……完璧だな)
◇
開始。
セラが、真っ先に飛び出す。
動きが速い。
だが、無駄がない。
(……修正、してるな)
前回の模擬戦の影響だろう。
魔物が、セラに集中する。
「今です」
リーナの声。
俺は、地面に手を置いた。
流れを、整える。
崩れた魔力循環を、
“正しい位置に戻す”。
――魔力炉の揺れが、止まる。
(……早い)
教師席が、ざわつく。
「もう……?」
「いや、まだ安定化の途中だ」
◇
魔物が、一体、裏に回ろうとする。
エリシアが、即座に合図を出す。
「右、二時方向」
セラが、対応。
斬らない。
弾く。
押し戻す。
(……連携、成立してる)
俺は、最低限の調整だけを続ける。
前に出ない。
基準にならない。
(……これでいい)
◇
数分後。
魔力炉は、完全に安定した。
被害ゼロ。
負傷者ゼロ。
「……演習終了」
教師の声が、少し遅れて響く。
沈黙。
そして――
拍手。
(……やりすぎたか?)
◇
結果発表。
「被害率、ゼロ」
「対応時間、最短」
「連携評価、最高」
教師は、言葉を選ぶように続けた。
「……模範解答だ」
(……模範、ね)
セラが、笑った。
「楽しかったな」
リーナは、頷く。
「合理的だった」
エリシアは、微笑む。
「記録、完璧ですわ」
三人が、俺を見る。
(……これ)
(固定チーム、確定だな)
◇
その日の夜。
学園長は、報告書に一行だけ書き足したという。
特別枠は、
単独ではなく、チームとして扱うべきである。
それは、
俺にとっての制限であり、
同時に――
次の無双ステージへの許可証でもあった。
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