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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第17話 合理主義と武闘派が噛み合わない理由が分かりました

事態は、放課後の訓練場で起きた。


と言っても、事件性はない。

ただ――空気が、少しだけ張り詰めていた。


(……これは)


(挟まれてるな)


俺は、はっきりとそう認識していた。



訓練場の端。


木剣を肩に担いだセラが、俺の前に立っている。


「次、いつやる?」


(即、再戦か)


「……未定です」


そう答えると、彼女は不満そうに眉を寄せた。


「鍛錬は、間を空けると鈍るぞ」


(理屈は分かる)


だが、その時。


「それ、効率悪い」


静かな声が割り込んだ。


振り向くと、リーナが立っていた。


相変わらず、距離の取り方が正確すぎる。


(……来たか)



セラが、露骨に顔をしかめる。


「……なんだ、お前」


「邪魔する気?」


(初対面、最悪だな)


リーナは、表情を変えない。


「邪魔じゃない」


「ただ、意見を言っただけ」


セラが、鼻で笑う。


「意見?」


「戦うのに、効率も何もあるか」


(……分かりやすい対立軸だ)



リーナは、俺を見る。


「ユウト」


(……こっちに振るな)


「あなた、今日もう十分に情報を取った」


「同じ相手と続けてやる必要はない」


(……正論)


セラが、食ってかかる。


「何が情報だ」


「勝った負けた、それだけだろ」


リーナは、首を横に振る。


「違う」


「癖、間合い、反応速度、判断基準」


「全部、もう見えてる」


セラが、言葉に詰まる。


(……言語化されると、強いな)



「……あんた」


セラが、俺を見る。


「さっきの試合、どうだった?」


(……答え方、間違えると火種だ)


俺は、正直に言った。


「……速くて、真っ直ぐでした」


「いい意味で」


セラは、少しだけ口角を上げる。


「だろ」


(嬉しそうだな)


「でも」


(あ)


「次も同じだと、また同じ結果になります」


沈黙。


(……言い切った)



セラが、しばらく黙り込む。


そして――笑った。


「……なるほどな」


木剣を肩から下ろす。


「じゃあ、次は変える」


(即修正できるタイプか)


「それなら」


リーナが、淡々と言う。


「今日じゃなくていい」


「一晩置いた方が、修正精度が上がる」


(……完全に研究者の発想)


セラは、舌打ちした。


「……頭で戦うやつは、嫌いだ」


(言いつつ、否定はしてない)



二人の視線が、同時に俺に向く。


(……やめろ)


「ユウト」


「次は、どっちに合わせる?」


(……選択肢が重い)


俺は、少し考えた。


(ここで片方に寄ると、拗れる)


だから――


「……両方です」


二人が、同時に固まる。


「合理性も」


「実戦も」


「両方、必要です」


沈黙。


次の瞬間。


セラが、豪快に笑った。


「ははっ!」


「欲張りだな!」


リーナは、小さく息を吐いた。


「……あなたらしい」


(……助かった)



その場は、それで解散になった。


だが、俺は分かっている。


この二人は――

交わらないタイプだ。


だからこそ。


俺を中心にすると、

噛み合ってしまう。


それが、良いことなのか、

面倒なことなのかは――まだ分からない。


ただ一つ確かなのは。


学園生活は、

もう“個人の無双”では終わらない。


チームと、思想と、立場の話に

入り始めているということだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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