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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第16話 訓練場で目を合わせたら決闘になりました

学園の訓練場は、朝が一番うるさい。


剣のぶつかる音。

魔法の破裂音。

叫び声と笑い声。


(……元気だな)


俺は、壁際に立って、それを眺めていた。


理由は単純だ。

近づくと、巻き込まれる。


「……あ?」


その声が聞こえた瞬間、嫌な予感がした。



声の主は、俺より少し背の高い少女だった。


赤茶色の髪を後ろで束ね、

軽装の訓練服。

腰には、木剣。


(……武闘派だな)


視線が、ぶつかる。


ほんの一瞬。


――だが、向こうは逸らさなかった。


「……あんた」


(……来た)


「特別枠のユウト、だよな」


(名前、知られてる)


「はい」


俺が答えると、彼女は鼻で笑った。


「昨日の模擬実技」


(やっぱり、それか)


「魔法でちょいっと止めただけで、勝った気になるなよ?」


(……なってない)


だが、否定しても火に油だ。


「……そうですね」


素直に頷く。


その瞬間、彼女の眉が跳ね上がった。


「……は?」


(あ、地雷)



「じゃあさ」


彼女は、一歩前に出る。


「魔法抜きで、やろうぜ」


(……やっぱり、こうなるか)


周囲がざわつく。


「木剣戦か?」


「面白そうじゃん」


(……面白くない)


「……理由、聞いていいですか」


俺がそう言うと、彼女は即答した。


「気に入らない」


(潔いな)


「強いなら、前に出ろ」


「逃げるなら、最初から目立つな」


(……理不尽だが、分かる)


武の世界では、

それが筋なのだろう。



教師が、近づいてきた。


「……模擬戦か?」


少女は、即座に頷く。


「非殺傷、木剣、一本勝負」


教師は、俺を見る。


「……特別枠、問題ないか?」


(断れば、別の形で絡まれる)


「……構いません」


その瞬間、

少女が、にやりと笑った。


(……楽しそうだな)



開始。


彼女は、速かった。


踏み込み。

剣筋。

迷いがない。


(……鍛えてる)


普通に、強い。


俺は、一歩引く。


――避ける。


剣が、空を切る。


「……逃げるな!」


(いや、避けてるだけだ)


二撃目。

三撃目。


(……全部、直線だ)


(癖が、分かりやすい)


俺は、動かない。


ぎりぎりで、ずらす。


剣が、かすめる。


(……ここ)


踏み込む。


彼女の懐。


木剣を、叩かない。


代わりに、

剣の側面を、軽く払う。


――木剣が、弾かれる。


落ちる。


沈黙。



「……え?」


少女が、自分の手を見る。


「……今の、何だ」


(……技術だ)


だが、そう言うと拗れる。


「……隙、ありました」


正直に言った。


周囲が、ざわつく。


「速かったのに……」


「剣、触ってただけだぞ……」


教師が、咳払いする。


「……勝負あり」



少女は、しばらく黙っていた。


そして――


笑った。


「……あー、なるほどな」


木剣を拾い、肩に担ぐ。


「魔法以前の問題か」


(理解、早い)


彼女は、俺を見る。


「私は、セラ」


「武闘科」


(……専門家か)


「リベンジ、いいか?」


(即、次の話)


「……条件次第で」


そう答えると、彼女は満足そうに頷いた。


「いいね」


「その言い方」



その様子を、少し離れた場所で、

リーナが見ていたことを、俺は知らなかった。


後で聞いた話では、

彼女はこう言ったらしい。


「……やっぱり、放っておけない」


こうして学園には、

理論担当と、武力担当、

二方向から俺を見る視線が揃った。


そして俺は、

「序列外の問題児」から「関わると面倒な中心点」へと、

静かに格上げされていった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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