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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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15/22

第15話 距離感がやけに正確な少女と出会いました

序列に入らない、と宣言した翌日。


学園の空気は、少しだけ変わっていた。


視線が増えた。

だが、絡んでくる者は減った。


(……様子見、か)


敵意と好奇心が、半々。

一番面倒な状態だ。



昼休み。


俺は、人気のない中庭にいた。


理由は単純だ。

食堂は、今の俺には騒がしすぎる。


(……前世でも、こういう時期あったな)


端のベンチに腰を下ろし、弁当を開く。


質素。

母親が用意してくれた、いつも通りの中身。


(……落ち着く)


「……隣、いい?」


声がした。


(……え)


顔を上げると、少女が立っていた。


銀に近い淡い髪。

落ち着いた青い目。

制服の着こなしは整っているが、派手さはない。


(……誰だ)


「……どうぞ」


断る理由もない。


彼女は、俺の隣に座った。


妙に、近すぎず、遠すぎない距離で。


(……この間隔)


(無駄がない)



「あなた、ユウトでしょう」


断定だった。


「……はい」


「私は、リーナ」


名字は、言わなかった。


(……意図的だな)


「昨日の模擬実技、見てた」


(でしょうね)


「……どう思いました?」


俺は、少し考える。


(正解を言うと、たぶん拗れる)


だから、正直に言った。


「……やりすぎました」


彼女は、一瞬だけ目を丸くした。


そして、すぐに微笑む。


「そう言うと思った」


(……読まれてる)



リーナは、静かに話す。


声量も、言葉選びも、必要最小限。


「あなた、力を誇示しない」


「でも、隠しもしない」


(……そう見えるのか)


「だから、周囲が困る」


(事実だ)


俺は、弁当を一口食べる。


「……それで、ここに?」


リーナは、頷いた。


「あなたが“序列に入らない”って言ったから」


(……それが理由?)


「私は、序列の中にいる」


そう言って、彼女は少しだけ肩をすくめた。


「でも……あれは、効率が悪い」


(……おや)



「上に行くほど、責任だけ増える」


「下にいると、選択肢が減る」


「どちらも、合理的じゃない」


(……同意しかない)


俺は、彼女を見る。


(この子……)


(考え方が、近い)


「だから」


リーナは、俺を見る。


真っ直ぐ。


「序列の外にいる人が、必要だった」


(……なるほど)


「利用、ですか?」


そう聞くと、彼女は少し考えてから答えた。


「協力、のつもり」


(……言い方が上手い)



その後、しばらく無言で食事をした。


気まずくない。

沈黙が、自然だ。


(……これは、珍しい)


「……ユウト」


リーナが、ふと聞いた。


「あなた、自分がどれくらい異常か、自覚ある?」


(……難しい質問だな)


俺は、正直に答える。


「……周りが困る程度には」


彼女は、くすっと笑った。


「十分」



立ち上がる前、彼女は言った。


「私、理論が得意」


「実技は……普通」


(……補完関係)


「また、話したい」


命令でも、お願いでもない。


提案だ。


「……いいですよ」


そう答えると、彼女は満足そうに頷いた。



彼女が去った後、俺は少し考えた。


(……危険だな)


序列外。

合理主義。

距離感が正確。


(……相性、良すぎる)


学園生活は、

すでに個人戦ではなくなりつつある。


そして俺は――

最初の“固定関係”を、静かに結んでしまったらしい。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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