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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第14話 学園の序列に組み込まれなかった結果、揉めました

学園には、暗黙の序列がある。


成績。

家柄。

魔力量。

そして――教師からの扱われ方。


入学初日で、それはほぼ決まる。


(……まあ、どこの世界も同じだな)


俺は、そのどれにも属していなかった。



「……あいつ、どこの貴族だ?」


「知らない。名簿に家名がなかった」


「平民? なのに特別枠?」


ざわつきは、主に貴族席からだ。


平民側は、遠巻きにして様子見。

近づかない。


(……賢明)


最初の授業は、魔法理論。


教師は、入学式の水晶騒ぎを知っているらしく、

俺を見る目が、最初から慎重だった。


「……今日は、基礎確認だ」


板に書かれる初歩理論。


(……懐かしいな)


分校でやった内容より、少し整理されている。


(……だが、やっぱり回り道が多い)


俺は、ノートを取るふりをして、最低限だけ書いた。


目立たない。

それが、今日の目標だ。


――だが。


「先生」


前の席の生徒が、手を挙げた。


金髪。

自信に満ちた顔。


(……来たな)


「その説明、効率が悪いと思いますが」


教室が、静まる。


教師が、眉をひそめる。


「……君は?」


「アルベルト・フォン・グラディス」


(はい、上位貴族)


「我が家では、もっと洗練された理論を――」


(ああ、マウントの入り方が完璧だ)


教師は、少し困った顔をする。


(……これは)


(誰かが“基準”になる流れだ)


嫌な予感は、当たった。


「……では」


教師が、俺を見る。


「特別枠の君は、どう思う?」


(……やめろ)


全視線が、集まる。


(今日は目立たない日だ)


だが、無視もできない。


俺は、少し考えてから答えた。


「……どちらも、合ってます」


ざわり。


「ただ……」


(言わなくていい)


(言わなくていいが……)


「状況次第、です」


沈黙。


アルベルトが、鼻で笑う。


「逃げだな」


(……来た)


「才能があると聞いたが、その程度か?」


(……ああ、これは)


(序列確認だ)



休み時間。


アルベルトが、取り巻きを連れて来た。


「特別枠」


(名前で呼ばれないの、嫌だな)


「序列に入らない生徒は、困る」


(お前が決めるな)


「模擬実技で、立場をはっきりさせよう」


(……テンプレだな)


俺は、内心でため息をついた。


(断っても、絡まれるだけだ)


「……分かりました」


その返事に、周囲がざわつく。



模擬実技場。


教師立ち会いのもと、簡易戦。


条件は、非殺傷。

魔力制限あり。


(……ありがたい条件だ)


アルベルトは、堂々と前に出る。


魔力量。

詠唱速度。


(……優秀だ)


普通なら、上位。


「行くぞ!」


魔法が放たれる。


直線。

威力重視。


(……読みやすい)


俺は、一歩横にずれた。


それだけ。


魔法は、空を切る。


「……なっ!?」


次の瞬間。


俺は、地面に指を置いた。


整える。

流す。


――空気が、変わる。


アルベルトの魔法が、散った。


威力が、霧散する。


「……何をした!?」


(何もしてない)


教師が、息を呑む。


「……魔力干渉?」


「いや……魔力“調整”だ……」


(……やっぱり、言語化されると厄介だな)


勝負は、それで終わった。


攻撃が、成立しない。


「……終了」


教師が、そう告げる。



沈黙。


アルベルトは、歯を噛み締めている。


「……勝った気でいるな」


(気ではなく事実だが)


だが、俺は首を振った。


「……勝負じゃ、ないです」


それが、逆効果だった。


「……は?」


(あ、地雷踏んだ)


「立場を決めるため、でしたよね」


「……」


「なら――」


俺は、静かに言った。


「僕は、序列に入りません」


一瞬の沈黙の後、

ざわめきが爆発した。



その日のうちに、噂は広がった。


特別枠は、序列拒否


上位貴族が止められた


教師も介入できない


学園は、混乱していた。


だが、学園長は一言だけ言ったらしい。


「……想定内だ」


俺は、その言葉を聞いて、少しだけ安心した。


(……少なくとも、追い出されはしない)


ただし。


序列に入らないということは――

敵も、味方も、自由に作るということだ。


学園生活は、

早くも“静かではいられなくなった”。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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