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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第12話 事前評価試験で測定不能を叩き出しました

九歳になり、学園入学まで残り一年を切った頃。

俺は「事前評価試験」という名目で、

初めて正式に学園の敷地を踏むことになった。


学園の事前評価試験は、

思っていたよりも――静かだった。


大きな建物。

高い天井。

装飾は控えめだが、空気が張り詰めている。


(……ここ、教会より空気重いな)


案内された部屋には、すでに数人の子供がいた。


貴族の服。

自信満々な表情。

ちらちらと、こちらを見る視線。


(……平民が混ざってるの、珍しいんだろうな)


俺は、隅の席に座った。


目立たないように。

いつもの癖だ。



試験官は、三人。


全員、教師。

全員、ベテラン。


「これより、事前評価試験を開始する」


形式は、三段階。


知識。

魔力。

実技。


(……順当だ)


最初は、知識試験。


簡単な問い。

魔法理論の基礎。


(……普通に答えるか)


分かる。

だが、書きすぎない。


最短。

最低限。


(……よし、目立ってない)


試験官は、ちらっと俺の答案を見る。


何も言わない。


(……セーフ)



次は、魔力測定。


問題は、ここだ。


中央に置かれた、水晶。


大きく、透明。


(……またこれ系か)


嫌な予感しかしない。


「順番に、触れてください」


一人目。


水晶が光る。

数値が表示される。


「……優秀だ」


二人目。

少し弱い。


三人目。

不安定。


(……で、俺か)


前に出る。


深呼吸。


(……抑えろ)


(抑えろ、俺)


水晶に、手を置く。


――反応。


だが、光らない。


(……あ)


次の瞬間。


水晶が、低く鳴った。


――カチ、カチ。


音が、ズレている。


「……?」


試験官の一人が、眉をひそめる。


光が、走る。

だが、数値が出ない。


代わりに――

均一な波紋だけが広がる。


(……また最適化したな)


沈黙。


試験官の一人が、別の試験官を見る。


「……測定値が、出ない」


「壊れたか?」


別の水晶が、運ばれてくる。


再測定。


同じ。


光は安定。

だが、数値はゼロでも最大でもない。


“揺らぎがない”


「……測定不能」


誰かが、そう呟いた。


(……だろうな)



最後は、実技。


簡易魔法の発動。


「威力は、不要」


試験官が言う。


「制御だけを見る」


(……それなら)


俺は、最小限に魔力を流す。


整える。

揃える。


――光。


揺れない。

消えない。


試験官の一人が、思わず立ち上がった。


「……時間が、止まっている?」


「いや……減衰しない……?」


(……やりすぎた)


だが、もう遅い。



試験後。


俺は、別室に呼ばれた。


待っていたのは、

見覚えのある男。


教会分校で会った、学園の人間。


「……久しぶりだね」


(ですよね)


彼は、溜息をついた。


「事前評価の意味が、ほぼ消えた」


(知ってた)


「正直に言う」


声が、低くなる。


「君は、教育対象ではない」


(ですよね)


「だが――」


「放置するのも、危険だ」


(でしょうね)


彼は、苦笑した。


「だから、結論は一つだ」


「――予定通り、入学してもらう」


(……結局、そこか)


「ただし」


条件が付く。


「君は、特別枠だ」


(出た)


「成績評価は、別基準」


「実技制限あり」


「教師の指示には、必ず従うこと」


(……無理そうだな)


俺は、黙って頷いた。


(従う努力は、する)



帰り道。


父親が、聞いた。


「……どうだった?」


俺は、少し考えて答えた。


「……普通、でした」


父親は、苦笑した。


「そうか」


母親は、俺の頭を撫でる。


(……嘘は言ってない)


(俺基準では、普通だった)


だが――


学園側の会議室では、

全く別の評価が下されていた。


「測定不能」


「再現性なし」


「基準破壊」


「だが――」


「受け入れない方が、危険」


こうして、俺は――

学園に入る前から“扱い注意”として登録された生徒

となった。

次はいよいよ――


学園入学編、開幕。

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