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赤ん坊から始まる最適化無双 〜気づいたら学園も世界も管理対象になっていました〜  作者: 蒼井テンマ


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第11話 冒険者に同行したら護衛の意味がなくなりました

七歳になった頃、

教会から「安全確認」という名目の要請が出された。


最近この地域で増えている魔物の動きを調べるため、

冒険者が派遣され

――そしてなぜか、俺も同行することになった。


同行、と言われたときは、もっと穏やかなものを想像していた。


荷馬車。

街道。

簡単な見張り。


(……完全に甘かったな)


「じゃあ、俺たちが前。ユウトは真ん中だ」


冒険者の男が言う。


革鎧。

剣。

歴戦とまでは言わないが、慣れている。


(……護衛される側か)


その認識自体は正しい。

少なくとも、形式上は。



依頼は、森の巡回だった。


最近、魔物の気配が濃い。

被害はまだ出ていないが、早めに確認する。


(……典型的な前振りだな)


俺は、森に入った瞬間に分かった。


(……いる)


空気が、重い。

魔力が、淀んでいる。


(……この森、循環が壊れてる)


原因も、すぐ見えた。


地形。

倒木。

水の流れ。


(……詰まりすぎだ)


冒険者たちは、警戒している。


だが、方向が少しズレている。


(……右じゃない。左だ)


言いたい。

だが、立場がない。


俺は、少しだけ歩調を変えた。


足音を、ずらす。


「……?」


後ろの冒険者が、気づく。


「どうした、坊主?」


俺は、地面を指差した。


「……こっち」


それだけ言った。


冒険者は、眉をひそめながらも、視線を向ける。


「……足跡?」


「いや……流れだ」


彼は、しばらく地面を見てから、顔を上げた。


「……確かに」


(……通じた)



しばらく進むと、魔物が現れた。


狼型。

数は三。


「来るぞ!」


冒険者たちが前に出る。


(……普通にやるつもりか)


俺は、立ち止まった。


(……この配置、無駄が多い)


魔物の動線。

冒険者の位置。


(……ぶつかる)


だから、石を一つ、蹴った。


ほんの少し。

角度だけ、調整。


――石が転がり、音が響く。


魔物の注意が、一瞬そちらに向く。


その隙。


冒険者の剣が、綺麗に通った。


「……え?」


一体、倒れる。


残り二体が、動揺する。


(……今だ)


俺は、木の枝を拾い、地面に置いた。


斜め。

角度は、最短。


魔物が突っ込む。


――滑る。


「……なっ!?」


冒険者が、驚きながらも、反射で動く。


結果。


二体目、三体目。


静寂。



「……坊主」


冒険者が、俺を見る。


視線が、変わっている。


評価。

警戒。


「……今の、偶然か?」


俺は、少し考えた。


(正直に言うと、長くなる)


だから、こう言った。


「……転びやすそうだったから」


沈黙。


冒険者の一人が、笑った。


「はは……そうかもな」


だが、目は笑っていない。



帰り道。


冒険者の一人が、低い声で言った。


「……護衛、逆じゃなかったか?」


「言うな」


「いや……」


彼らは、俺を挟む位置を、変えた。


前でも後ろでもない。


“中心”だ。


(……やめてほしい)


その配置は、

守る対象ではなく、

基準点の扱いだ。



村に戻ると、報告が上がった。


「被害なし」

「魔物、排除」

「異常なし」


(異常しかないと思うが)


冒険者ギルドの受付が、俺を見る。


「……名前は?」


父親が、答える。


「ユウトです」


受付は、紙に何かを書いた。


「……記録しておきます」


(……覚えられたな)


その夜。


父親が、静かに言った。


「……もう、子供扱いできないな」


母親は、黙って俺を抱きしめた。


(……それは、まだ勘弁してほしい)


だが、世界はもう――

そうは見ていない。


――こうして俺は、

護衛されるはずだった同行任務で、役割を曖昧にした子供

として、冒険者ギルドの片隅に名前を残した。


そしてこれは――

学園入学前の、ほんの前哨戦に過ぎなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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