7/魔女は思い出に耽る【上】
クラリスは2人の優しさに何でも無いふりをして話し始めた。
「……簡単な理由としては、もう疲れた。私を知る知人も友人も皆死んでしまった。それに見送る役目は十二分にやった。やりたいことも無い、それに終わりが見えないのもなかなか辛い」
最後の友人が去ったのを機に好きだった街に出るのをやめた。本当はもう顔見知りすら作りたく無いのだが、全く言葉が交わせてしまったばっかりに。本当にこれ以上誰とも親しくならない。それに私以外誰も知らない思い出を持ち続けるのも辛いだけだ。私以外に不老不死の存在がいてくれれば気が楽だったかもしれないがそんな奴いないのは分かりきっている。
「長く生きててもいい事あんまりないんだな」
「なるほどなぁ、ついでに死ねへん理由も分かってたら聞いてもええか?手掛かりになるかもやし」
「確かに、俺も聞きたい」
この2人は私が心配になるほど素直だ。疑いもしないで私の話を聞いてくれる。普段ならこれ以上話さないし、かつての友人達にさえ深く話したことは無いのだがこの2人にはつい、話したくなってしまった。
「……そう、わかった。けど、口止めさせてもらう」
これから確定では無いが不老不死になる方法を説明するのだ。念の為だ。
「大丈夫だ」
「全く構へんで〜」
即答だった。この先もしかしたら危険に晒されるかもしれないのに心配になる。
「そう、…」
❁❁❁
ー4??年前ー
地下実験労働施設
《あのねっ、わたしね夢を見たの!クラリスお姉ちゃんがとっても幸せそうに笑ってたの!ちょっといつかはわからなかったけどねぇへへっ》
(そう言ってたあの子、ずっと帰って来ない……やだなぁ…あれ、名前なんていってた?何でずっと一緒だったのに?また?忘れたくなかったはずなのになぁ…)
私がどうやって、どんな経緯でここに来て何をされているのか、最近だんだんと思い出せなくなってきていた。
しばらく考えていると研究員が来た。どうやら迎えに来たらしい。
「No.49、その足下の煙は巻き上げないように来て下さい」
「煙?本当だ…」
確かに足下に煙が溜まっている。おかしい、なぜ気付かなかったのだろうか?もしかしたら記憶が曖昧になってきているのはこの煙のせいかもしれない。
「No.49?」
「はい、今行きます」
カッ…カッ…カッ…
タッ、タッ、タッ、
ここの廊下はいつも静かだ。足音しか聞こえない妙な緊張感がある。
(今日は何をするのだろうか、この間は……確か毒に耐えるやつだったけ?あれ、違う?死体処理の仕方だったけ?それとも強化訓練だっけ?)
突然何も無い廊下で研究員が立ち止まり話しかけてきた。
「No.49私の事、覚えてる?」
「えっ?」
「No.49だからシクちゃん…もしかして、もう忘れちゃった?いや、覚えてないんだったらいいんだ」
「しく、ちゃん?しく?シク……ちゃん……あ!え?いや??ええー……もしかして、ナリア…さん?」
合っていたのだろう研究員ーナリアさんの顔がパァァと明るくなった。
「そっかそっか、ギリ覚えてたぁ!うん!行こっか!」
その後ナリアさんの作業部屋にて詳しく現状を教えてもらうことになった。
やっっっっっっっと過去編




