3/魔女は独り言が多い
一話作るのに時間がかかりますね〜
その後グレンとルドウィンは怪我が完治するまで魔女クラリスの家で暮らすことになった。どっちにしろ怪我をしたままではグレンはともかく重症のルドウィンはこの森を抜けるのは難しいだろう。
「本当にいいのか?」
「どうせまだ帰れないでしょう」
それに今死なれたら困る。私を終わらせてくれる可能性があるのだから。それに可能性は多いに越したことはない。
「それはそうだがルドウィンとは別の部屋まで貸してくれなくても」
「どうせ使ってないし…あ、埃かぶってるけど、掃除は自分でして」
「いや、十分ありがたい、感謝する。」
☆。.:*・゜
いつの間にか夕暮れだ。久々に人と関わったからだろうか、一日が早い。そうだ、今のうちに明かりを付けとかないと夜が面倒臭い。そう思いリビングに向かうと、そこには明らかにげっそりした様子のグレンがいた。
「どうした」
「…少し疲れただけだ。」
グレンのお腹からグゥゥ、と主張するように音が鳴った。
「食料を持っていなかったのなら私を呼べば良かったのに」
「別に大丈夫だ、腹が減ったぐらいでは死なん」
「そう」
今の時代の人間は腹が減っても平気とは丈夫になっもんだな、とクラリスは思った。
「そうだ、貴女に聞きたいことがあったんだ。」
「?」
「その、貴女の名前はなんと言うんだ?ずっと呼び方が分からなかったもんだから」
「………アルマー」
「アルマーと言うのか、不思議な響きだな」
そりゃそうだ。なんせ300年以上も前に使っていた偽名なのだから、時代も変われば名前の響きも変わる。しかし、何故クラリスと名乗らないのかと疑問に思うだろうが、簡単に言えば恥ずかしいからだ。こんな可愛らしい名前、人に言えるか!…なので昔使っていた偽名で勘弁して欲しい。
「じゃあ、私は部屋に戻るよ」
「ああ」
予定通りリビングに明かりを点け、部屋に戻ろうとしたところでグギュゥー、グレンの腹からまた強く主張するように音が鳴った。グレンの顔が少し赤い、確かこういう時は……
「…笑った方がいい?」
「いや、気にしないでくれ」
「そう」
クラリスは本当に気にせず部屋に戻った。
翌日、朝日が僅かに差し込んだ頃、建付けの悪い玄関のドアが開く音がした。恐らくグレンだろう。
そこでもクラリスは何も気にせず、また眠りについた。
そしてグレンが出て行って1時間経過した辺りで異変は起きた。
グォォアァッ!!!ドスッ、ダダッダッ!!!バキッ!!!
騒音で目覚めたクラリスはやっとここで異変に気付いた。
「うるさぁ、なに…」
窓の外を覗くと約1km先、そこでは体長5m程の熊が暴れていた。しかしまだクラリスは呑気に独り言を喋っていた。
「おー珍し、熊がここまで入ってくるなんて……まさか、こっち来てる?何それやめて欲しい」
ここでクラリスは一つ嫌な予感がした。
「(これ、もしかしてグレンが追われてたりしな…おーいコラァ)」
案の定、木の影から熊に追われるグレンが出てきた。見る限り大きな怪我は無さそうだ。
仕方ないのでクラリスはグレンを救出しに外へ出る事にした。玄関を出て、暫く進むと熊から全力で逃げるグレンが見えた。
「ほんと、何してんの」
クラリスが話しかけるとグレンもこちらにに気付いたようだ。
「アルマー!すまない!今それどころじゃない!」
確かにグレンは逃げるので精一杯そうだ。これでは熊に勝てる見込みもない。いつものクラリスであれば絶対に助けなかっただろうが今回は特別だ。
「グレン覚悟して」
「え?」
突如、熊とグレンの間に透明な泡が一つ発生した。その泡は朝日を反射してキラキラと輝いている。しかし熊にはそれが鬱陶しく感じたのだろう、振り払おうと爪先が泡に触れた瞬間、森に特大の破裂音が響いた。もちろんクラリスの魔法だ。熊は音に驚いて逃げ帰った。が、グレンはその場で目を回していた。
「立てる?」
「……何だって?」
どうやら先程の破裂音で鼓膜がやられてしまったらしい。話が出来ないと困るので魔法で治した。
「痛っ!」
「得意じゃないから仕方ない」
「お、聞こえる…重ね重ねアルマーには頭が上がらないな」
「全く、本当にね」
クラリスは呆れていたが、何故かグレンは可笑しそうに笑顔を見せていた。
熊をどうするか悩みました




