2/魔女は人の気を知らない
「そこに寝かせて」
冒険者達を家に上げたクラリスは怪我の酷い方をベッドに寝かせた。
「ルドウィンは助かりそうか…?」
「多分、何とかなる」
怪我の酷い方、ルドウィンは腕、足、肋骨の骨折、もしかしたら内臓も損傷してるかもしれない、後は腹に大きな引っかき傷、傷は深くはないが出血が多い。まぁ、止血して魔法で自然治癒力を上げれば1ヶ月程で完治するだろう。ただ、この家に人を治療する為の道具が何一つ無い。
「ねぇ包帯持ってない?」
「ああ!少ししか無いが、足りるか?」
「あればいいの、貸して」
クラリスは包帯を受け取ると、クローゼットから古びた大きめのローブを取り出した。
「何をするんだ?」
「これで包帯を作る」
「それは申し訳ない、使うなら俺の服を使ってくれ」
「大丈夫、これが一番包帯に向いてるから」
「そうなのか…?」
「そう、治癒力を向上させる魔法が織り込まれてる」
「…は?それ、すげぇ高価なやつじゃ…!やっぱり俺の服を!」
「無理、もうやったから」
もう既にクラリスの手の中にあったローブが控えめに煌めき出していた。そして糸が解けたと思えばあっという間に包帯の形状に変わっていた。
「嘘だろ、」
よく分からないがルドウィンの相方が吃驚している。その間に止血や添木、包帯、出来ることはやった。あと痛み止めは無いので取り敢えず眠りの魔法を掛けておいた。
「応急処置だけど治癒力向上の包帯もどき巻いてるからすぐ傷は塞がると思う、塞がったら包帯は新しいのに変えて、骨折は全部治るのに1ヶ月ぐらい多分かかるから…あ、包帯返す、見本として使っただけだから」
「……本当に魔女だったのか」
「そうだけど、ルドウィンの相方も怪我の処置しとく?」
「……頼む。あと名乗っていなかったな、俺の名前はグレンだ。」
「そう。あ、さっき言った条件だけど」
「ああ、出来る事なら何でもするさ」
「私の望みは私を殺して欲しい、死ねるなら何でも良い、かなり難しいと思うけど」
「え?」
「火も効かないし、溺死もできないし、毒も効かない、刃物は通るけど常時結界が発動してて硬い、あと再生力が強いからすぐに傷も治る、だから即死攻撃しか効かないと思う。」
「え?」
「別にグレンが手を下さなくても良い、死ねれば何でも良い」
「いや、そんな強い奴誰も殺せねぇよ!」
自分が強いのは百も承知している。だから今回の肝はグレンたちの目指す相手だ。
「知ってる、けど今魔王がいるんでしょ?魔王なら私を殺せるかもしれ…」
「駄目だ!…その、魔王は俺たちが倒すんだ。」
何故殺されに行くのが駄目なのだろう?倒しに行く話はしていないのに。分からない人だ。
「別に倒しに行くわけじゃ無い、殺されに行くのだから良いでしょう?」
「あー、えっと、魔王が貴女みたいな強い人を殺してしまったら、パワーアップして被害が大きくなってしまうだろう?だから俺たちが強くなって魔王を倒した後に貴女を殺そう!」
そういう事か、グレンは先の事まで考えてのことだったらしい。
「そう、分かった。早く強くなって」
そう返事を返したら何故かグレンがこっそりため息をついていた。何か思うとこがあったのだろうか?
題名これであってたかな…




