1/魔女は死にたい
初投稿!
危険な魔物が蔓延る深い森の中、深い緑に溶け込むように、しかし不自然に家が建っている。その家には世にも恐ろしい魔女が住んでいるらしい。命が惜しければ絶対に家に入ってはいけない。魔女の啜り泣く声が聴こえれば尚更だ。
これは冒険者の中でも一番有名な噂話だ。
❁︎⋆ ☄︎. ·˚ *
噂話は概ね真実である。その魔女の名はクラリス、世界最強の魔女である。
「…今日も、死ねなかった…いつになったら私は…うぅっ〜グスッ」
彼女は悩んでいた。魔女の平均寿命は150年、長生きしたとしても180年前後が限界である。しかし、クラリスはもう400年は生きている。しかも姿形は若いまま変わらない。恐怖から寂しさから何度も死のうとした。刃物で首を突いても血で部屋を汚して激痛が走るだけだった。猛毒を煽っても死ぬほど苦しかっただけで死ねなかった。マグマに身を投げたこともあるが、焼け爛れた瞬間から皮膚や筋肉が再生、終わらない地獄と化した。
最近は傷付くのも難しくなってきた。スキルが増えるたび見るのも嫌になる。昔は嬉しかったはずなのに。
種族:魔女
称号:ベリューの森の主
死を待つ魔女
永遠を生きる魔女
スキル:魔力強化、自然魔法、光魔法、闇魔法、
再生力(極)、毒無効、炎熱無効、水害無効、
痛覚減少、防護結界(常時発動)←ɴᴇᴡ!
「ぐすっ、うぁ…最近やたら丈夫になったと思ったら、スキル増えてる〜ぅゔゔっひっく、ぐすっ、もういや…」
死のうとすればするほど死から遠ざかる。なんと皮肉なことか、最早魔女なのかすらも怪しい。
ドンドンドンドンドン!
普段静かな家にノック音が響いた
「ビクッ(だ、誰!?)」
「はぁはぁ、誰かっ、この際誰でもいい、魔女でもいい、ルドウィンを助けてくれ…死なせたくないんだ…」
声から察するに負傷しているのだろう。人数は2人、そのうち1人は息も絶え絶えだ。だが、クラリスにはわからない。
「…なぜ?いっそ、そのまま死んでしまったほうが…幸せなのでは?…辛い思いも、痛い思いも、もうしなくていい」
クラリスにとって「死」は羨ましい事だ。長いときを経て昔は持っていたはずの「生きたい」「生かしたい」が理解できなくなってしまった。
「…こいつと約束をしたんだ。一緒に魔王を倒そう、強くなろうって、だから、頼む」
「……分かった、条件がある」
「…!、ああ!出来ることなら何でも言ってくれ!」
クラリスは錆び付いて建付けの悪いドアを開けた。
ガチャッ、ガタッ、ギイィィ…
「中に入って」
「感謝する」
これが魔女クラリスと冒険者ルドウィン、グレンとの出会いだった。
読んでくれてありがとうございます(*^^*)




