第一話 start the game
〜ウェインエール王国城内〜
「姫様はどこに行った!」
「それがみつからないんです、」
「何!? 即急にみつけろ! いますぐにだ」
「はっ!」
何かと城内と城内付近は泡立た子い様子だった。なにかと約百を超える兵士は焦った様子で走り回っていた。
それにしてもここウェインエール王国は綺麗な国だ。当たり前のように水はどの階層にも行き届いている。そして城下町、市場ではあらゆる人々で、賑わっている。獣族、鳥族、爬虫族などあらゆる種族が共存しており一見したらザ・平和な国だ。けれどここの目玉と言ったらウェインエール城。ウェインエール王国の最終地点であり、要。ここウェインエール城を中心にして城下町も入り乱れている。お隣のミズル共和国と比べても守りで言ったら比較にならないだろう。
しかし先ほどから騒がしい様子が気になっていたので聞きたくなった。
「おい、そこのおっさん。なにをしてるんだ?」
「すまない、これは教えられない。国家機密情報だ。あと私はおっさんではない!」
「国家機密なのか? いいから教えてくれよ」
「無理だ」
そう言って兵士は立ち去った。
俺は何もすることもできず、自分の持ち場へ戻ることにした。
帰る途中、何かと人が群がる店がある。
よく見てみたら白髪の女の子が大柄な牛族の雄に髪を吊り握られていた。
「何があったんだ?l
俺が人混みの中を切り抜け、国と同時に周りの人々が四散した。
「なんだお前!? 毛無しのお前にはわかんねえよ!」
「いいから話せ!」
俺が強く聞くので牛族の男はめんどくさそうに話し始めた。
「この小娘が悪いんだ! こいつが意味もわからんお金で俺の自慢の商品を買おうとしてるんだ」
「その金はどこにある?」
「これだ」
そう言って牛族の男が渡してきたのは少し錆びていたけれど、見えた部分は火に当たって輝いていて、女神のような顔が彫られていた通貨だった。
俺はその通貨に見覚えがあった。過去の記憶が蘇る。あの時は今よりも無邪気で気恥ずかしくてだけど楽しい時間が思い出される。
「これがその通貨のことか?」
「あぁ、マジで意味わかんねぇよ!」
「じゃあ俺のこの硬貨と交換してくれ」
俺がウェインエール王国正式の硬貨を渡すのと同時に牛族の男の目は変わり、白髪の女の子は半泣きだったが半分感謝しているような様子でいる。
「あんた、わかってんじゃねーか」
「その金で何を買おうとしてたんだ?」
俺は白髪女の子に聞くとあらゆる雑貨がある中から一際目立っているクマのような人形を指した。俺はそれを買い、彼女に渡した。
彼女は照れくさそうに首だけお辞儀をしてくれた。
「お前さん、暇か?」
俺はそう聞き彼女が頷いたように見えたので彼女の腕を掴みどこかへと連れて行った。
***
かけがえのない時間だった。レストランや展望台、服屋など色々連れて行ったが彼女は一切苦の顔をせず俺に付き合ってくれた。夕日が暮れるまで俺らは遊んだ。
「ごめんな、面倒なことにつき合わせちゃって」
「いえ、いいんです・・・・。それに私も楽しかったし」
「それは良かった、また遊ぼうな」
そう言うと彼女は深刻な顔をした。
「『また』ですか・・・・」
彼女が発した言葉には何か違和感を感じた。
「なにか問題があるのか?」
「いえ、別に・・・・」
「そろそろ日も落ちてきたし、俺は帰るけどお前さんは帰らないのか?」
「私は帰りたくないので・・・・」
彼女に何か疑問を感じていると向こうから鎧がジャリジャリこちらに向かってくる音がした。
「ノルン様! ここにいたのですか、一体何を・・」
鎧の男は一瞬俺を睨みつつ、彼女を強引に引いて行った。
「他人の厄介事に首を突っ込むわけにもいけないな」
俺は呟き、宿屋に帰った。
「今帰りました」
「お客様! 定時になるまでに帰ってこないと困ります! 魔女の軍団に襲われても知りませんからね、」
俺は今までここの宿屋で泊まっている。この宿舎女は何かと世話好きな人柄としてここらへんでは有名だ。
「はいはい、分かってますよ、」
「わかっていません! 次から気をつけるように」
そう言って彼女は膨れっ面をした。
「すいませんでした・・」
(こんなにうるさくなかったら可愛いのに)
ここウェインエール王国やお隣のミズル共和国はつい数年前に起こった第六次魔女対戦線戦争において多大な被害を負った。しかしそれはただ多大なだけであり、根ごと焦がされた国もあった。そうネグマス王国とスミス連邦である。ともに先の戦争によって滅ぼされた。中でもネグマス王国には騎士団の中でも魔女にも立ち向かえる精鋭揃いだった。またネグマス王国が他の国々の中枢国として働いていたのも事実である。
しかし、滅ぼされたことによりこの世界の約八割は怪物が住む魔大陸となってしまった。その怪物が出現するきっかけ、場所はいまだに特定できてない。
「はぁ・・」
今日は別に悪いことなどなかったが今日は無性に眠くなった。
「寝るか」
俺は静かにとこについた。
(俺はなんのためにここまできたか自覚してるのか、そうだは自覚してる)
頭の中で思いながらも、体の疲れが俺を眠りへといざなった。
そしていつもより口呼吸することなく眠った。
***
朝起きたら街は何かと賑わっていた。
「そうだ、今日だったか・・」
俺はベッドからはい起きた。
「お客さーん! 今日出発ですよねー? 早く起きてくださーい」
下からも追い声をかけられて俺は無性にため息をつきたい気分になった。
「わかってますよ・・」
外に出てみて改めて人の多さに驚かされた。いつもの通りはたくさんの人々、いろんな種族で埋め尽くされている。
そんな通りを見て俺は昔の賑やかな街の情景がフラッシュバックされる。そんなことを思いながらも俺は会場へ向かって行った。
「すみません、入場の列はどこですか?」
俺は道がわからなくなったので近くの案内員に聞くしかなかった。
「えーっと、そうですねー えーと・・」
また彼も人が多すぎて道を把握できていなかったようであたふたしていた。
「こっちよ」
隣から女子の声が聞こえた。
「何が?」
「だーかーらー! カ・イ・ジョ・ウ! 着いてきて」
彼女はそう言って俺の手を引っ張った。
「その、案内してくれるの?」
「そうよ! 感謝しなさい! 言っとくけど案内するだけだからね!」
発言でわかるこの気の強さは少し気になるが、悪いやつじゃなさそうだ。
「まじでありがとう! 助かった」
「う、うん」
彼女は何かと気にしながらもそっぽを向いてしまった。
(今の発言はダメだったか)
数分後。俺らはやっとのことで目的地に着いた。
「結構時間やばかったな」
「そうね もうじき始まるみたいだったし。 あっ前見て! 始まる感じよ」
彼女がそう言ったので前の壇上の方に目を向けた。すると10人程度のナイトヘルを被った騎士が上がり、並んだ。
そして真ん中の大柄で、いかにもリーダー的な騎士がナイトヘルをとった。
「貴様ら! この四年に一度行われる祭典ウェインエール騎士選考大会によく来てくれた! 俺がみた範囲でも今回の参加者数は前回大会の3倍にもなる数だ! ざっとみただけでも5000人、その中でも選べれるのはたったの25人! しかし今回は何か前回と違う気がする! 前回より面白くなるようみんなには期待しているぞ!」
(5000人か。)
「早速だが説明に移させてもらう。 あとはヤビン頼んだ」
隣の騎士にそう言って大柄な男は壇上から降りて段幕の方へ行った。
「ここからはこのヤビンがとりおこなう。 まずこのウェインエール騎士選考大会では四次試験まである。まず君たちがはじめに行うのはペアを組んでここにいる皆とこの5000人が半分になるまで戦ってもらう。しかし殺しってわけにもいかない。そこで君たちは電子科学相似技術で作られた殺しの一歩手前まで相手に損傷を与える武器を選んでもらう。ソード、ガンはもちろんいろんなのがある。まずは今から二時間後までにここにいる奴らと二人組を作れ! 次の説明はそれが終わったらだ!以上」
ヤビンと言ったやつが言い終えた瞬間すぐに騒がしくなった。
周りで次々とペアが組まれていく。中には強そうな奴によってたかっている輩もいる。
「テイラ様ー 俺と組んでください!」
「おい! 抜け駆けすんな」
「テイラ様は俺様と組むんだ」
近くが騒がしいと思ったらさっきの案内女子が多くの男に囲まれていた。
「えーっと、」
彼女は困っているように相手に愛想笑いしていた。
(こうゆうのを助けるのは掟中の掟だよな)
「すまん、先着だ!」
俺はそう言い彼女の手を取った。
「ちょっ、ちょっと!」
彼女は当然驚いた。
「なんか文句あるのかテイラ?」
こんな調子の俺に当然周りの男たちは黙っていなかった。
「本当ですか!? テイラ様」
「こんな男に・・、」
「てかこいつ呼び捨てしたぞ!」
「許せん」
「テイラ様こいつと組むってほんとすか?」
想定通りの最悪の質問が飛びかけられた。彼女の返事も当然NOだろう。
「そ、そうよ! この男はわ、私のペア相手だわ!」
しかし彼女が発したのはまさかのYESだった。俺は目を丸くするするしかなかった。
「本当だったのか!?」
「くそ! こんなわけもわからん男に」
(お前もな)
「そういうことなので、あなたたちも早く組んできた方がいいわよ」
彼女は目的が男たちを追っ払うことのような態度で言った。そしてなぜか俺の腕を組んだ。
(なんか、たわわなものも当たっているような、)
俺は平常心を装うことで精一杯でいた。
まぁこれが新たな始まりということだろうか。




