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最近の通称異常気象のせいでもう心なしかブレザーを着ていると暑くなってきてしまう4月の10日。つい先日晴れてJKレッテルを獲得した園川茜は学校で配布された部活動一覧を頬杖をつきながらじっと見つめていた。
「うんん、、。」
「あら、何部にするか決めたの?」
ことり、と紅茶の入ったマグカップを置きながら母がダージリンねと付け加える。ありがとうと言いながらもそっとカップを遠ざけた。だって今飲んだら絶対に火傷するよね、うん。しばらくは香りを楽しむことにします。
「んや、まだなの。個人的には料理部かテニス部か、うーん、、柔道部のマネ?」
「マネージャーはだめよ、あなた向いてないんだから。」
「なんでそういうこと言うかな??意外と天職だったりするかもじゃん」
とにかく辞めなさいね。向いてないんだからと念押しされて渋々諦めながら文化部のページに戻る。
中学は美術部だった。高校でも続けてたってまぁ良いのだが部員数3人というのをみた瞬間そっと次の部の項目へ目を移した。流石に少なすぎる。
「(吹奏楽、、。)」
今からなんて無理に決まっている。小学校とか中学とかから続けてる人だらけのところで生きていける自信がない。ピアノ少し習ってましたよ〜程度の私に一体何ができると言うのだろうか。
あとは茶道部と、華道部、軽音部に演劇部。後者2つの部は無いな、うん。
軽音ってほら、あれでしょ?ギターとか鳴らしてるやつ。バンドみたいな?たまにTikTokとかでバズってる文化祭の体育館ライブとかはすごいなぁと思いながら流し見る。が、まぁ興味はない。だってそもそも全然音楽知らないし。曲聴くのは嫌いじゃないけど流行りの曲のサビ知ってるくらいだし。誰が歌ってるとかなんてバンドとか、紅白に出てる人くらいなら知識はあるがそれ以下でも以上でもない。あ、演劇はシンプルに入りたくない。演技とか出来ないです。
「、となると茶道部か華道部か、うーん、、やっぱ料理部かなぁ」
「部活動見学いつからなの?」
「明日?かなぁ、うーんでも活動日水曜らしいから来週なのかも」
「あらそぉ。明日は行けるところ行ってから帰ってきなさいね」
えぇ、と思いながらも「はあぃ、」と答える。
普通に料理部以外考えられないのだけども。料理部がいい!料理部に入りたい!!というよりは他は無理だの方が強い。うーん困ったなぁと思いながらカップに手を伸ばし口元へ運ぶ。ふわりとダージリンが香ったかと思った瞬間
「あっぢ!!」
情けない声をあげながらカップを口元から慌てて離した。一体何度のお湯で紅茶淹れたのよママ、、。