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蒼風のヘルモーズ  作者:
『ソルフーレン』編〈1〉

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第16話 デートですね、お嬢様

 フリュー西区役所に到着したのが午後の三時前。そして区役所にいるモルフォンスさんへ手紙を渡す用事が済んで外に出てきたのが、かれこれ一時間ほど経った午後の四時。

 午前中は移動のみに費やしていたために摂れていなかった昼食は僕の用が済んだ後、区役所公園で営まれていた露店で軽めの揚げ物を買って食べて、僕達は移動を再開した。

 揚げ物のせいで唇が照っている僕達が区役所までの道を戻るように徒歩で向かっている場所は、あの『ギルド』だ。


 世界冒険者協会——またの名を【ギルド】

 

 創始者『ギルフォード・マクス』が立ち上げた、世界に存在している『百六二カ国』の内、その九割以上の国家に本部を構えているという正真正銘の世界組織。

 勇者だとか加護だとか、普通知っているだろうことを何も知らなかった僕でも知っているくらいにギルドは有名だ。

 なぜ知っているのかと言われたら、酒に酔った爺ちゃんが「昔はナァ!」って昔の冒険自慢を聞かされていたからなのだが。まあ、そんなことはどうでもいいだろう。

 僕は興味津々な面持ちで『ウキウキ』と浮き足立ちながら、ギルドに向かっているエリオラさんに後に続いた。が。


「————ん? わ! これ可愛いっ!」


「へっ? え、ええっ! ちょ、アミュアちゃん!!」


 一応年上なのだが『ちゃん付け』を止めないでいる僕は、いきなり露店に走っていったアミュアちゃんを追いかける。

 雑多な騒めきが後を絶たぬ人混みを、木々を縫って進む風のように躱しながら走っていく僕達の現在地は広大なフリューの中央に位置している、首都で最も広大な敷地面積を誇っているらしい『フリュー中央公園』のド真ん中だ。

 西区役所もとい『六つの区役所』は各区役所との緊密な連携を行なったりする関係で、交通やら文書の便やらが遅延しない対策として建物間の距離を近くしていて。

 そのため先ほどまでいた西区役所を出て少しばかり移動をすれば、すぐそこに中央公園が存在しているのである。


「ねっ、ねっ、ね! これ可愛くない!?」


 どこに行くのかと思えば。沢山の『ぬいぐるみ』を売っている露店の前で立ち止まった彼女は追い付いた僕に陽光を浴びた一輪の花のような輝きをする笑顔を向けて、自分の可愛いを共有したいという意思が見える言葉を掛けた。

 僕は今までにない満面の笑みを見せている彼女が指差した『とある物』を目で追う。人差し指が示していた物とは白兎を模っている二十センチくらいのぬいぐるみ。


 腹を裂けば鮮血と共に臓器が転び出てくるのでは? と思えてしまうほどの『妙なリアリティ』がそれにはあった。

 であるからして、子供が持ち使うようなぬいぐるみには必須だろう『ファンシーさ』が致命的に欠けている風に思える剥製の如し物品を見せて『これ可愛いだろ?』などと言われても、なんとも言葉が出ないのが正直な所なのだが。


「あ、ま、まあ……うん、えっと、可愛い……ですねぇ」


「でしょ! 分かってるじゃん! なんか知らないけどエリオラとリップにはこの良さが分かんないみたいなのよね。ふふっ。ねえねえ、どれが一番可愛いと思う?」

 

「え? どれが……一番可愛い…………?」


 こういうのが好きなのだろうリアクションを取るアミュアちゃんは、好きな物を前にして大人振るのを忘れてしまうくらい大はしゃぎしていて。

 そんな年相応の子供のような素振りをする彼女に一番可愛いと思う物を聞かれた僕は、


「うーん……」と悩んだ末に黒斑がある白犬のぬいぐるみを手に取った。

 

「僕はこれ……かな?」


 僕が手に取っては見ている犬のぬいぐるみにある既視感。この既視感の正体は間違いなく、故郷で『羊飼いのメノスケさん』が飼ってた牧羊犬の『メアニー』だろう。

 僕によく懐いてくれていたメアニーは、長閑な春の昼暮れに行った暇潰しの散歩に何度か付き合わせたことがある。散歩をする度に僕達の前を横切っていった羽虫を全力で追い掛けるもんだから、帰るのが日が沈む前とかになって疲れたんだよなぁ。

 

 なんだろう、この上なく懐かしいという気分が湧いてくるな……。見つけた母さんを村に連れて帰ったら、また散歩に連れて行こう。今度はメアニーの子供と一緒に。


「ふーん。まあまあってとこね。そんなに可愛くないわ」


「え……? あ、そ、そう、ですか…………」


 ゴメンな、メアニー。アミュアちゃんはお前の良さが分からないみたいだよ。僕は思いの外に反応が薄かったアミュアちゃんに眉尻を下げて、持っていた物を台の上に戻す。


「ソラ君! 私とリップはギルドに行っているから、アミュアのことをよろしく! 昼過ぎにはここに戻るから!」


「ええっ!? いや、僕もギルドに…………くぅっ……わ、分かりました……僕はアミュアちゃんと一緒に居ます」


 子供のような穢れなき眼で露店に並べられたぬいぐるみを眺めているアミュアちゃんのことを、興味を優先させた結果この場に置き去りにしてしまうなどできるわけがない。

 良心の呵責と荒々しく流動する人混みの中で逸れてしまった場合の心配故に残るしかなかった僕は盛大に首を折り、ギルドへ向かうエリオラさん達と二手に別れるのであった。

 

 甚だしい諦念によりあからさまに首を折ってしまっている僕のことなんて露知らずであろうアミュアちゃんは「わぁ〜……ふふっ!」と、楽しさを口から溢れ出させていて。


 それを傍目にし続けることかれこれ数分。


「あれ? エリオラ達は?」と、ぬいぐるみから視線を外した彼女は屋台とは別方向を見つめていた僕にそう尋ねる。


「エリオラさん達は屋台に釘付けだったアミュアちゃんと僕のことを置いて、用があるギルドに行っちゃったよ……。昼過ぎくらいに『この辺で』落ち合うことになったよ」


 僕は買ってくれと言外に伝えてきている可愛さを振り撒くぬいぐるみから視線を離したというのによく目立つ紅髪が見当たらないことに不思議がっていたアミュアちゃんに二人は先に行ったことと、ここで落ち合うの二つを伝えた。


「ふーん…………。アンタはついて行かなかったわけ?」


「流石にアミュアちゃんを置いていくのは心配だしね」


「それ、どういう意味よ」


「言葉のまんまだよ」


「絶対馬鹿にしてるでしょ」


「…………いやぁ?」


「っ痛あっっ!?」


「何回も何回もなにやってんのさ…………」


 ちょっとだけ目を泳がせながら答えた僕に強烈な脛蹴りを繰り出してきたアミュアちゃんは案の定、自分が痛がるという既視感甚だしい『馬鹿コント』を見せて。それに眉尻を下げた僕は蹲る彼女に手を差し伸べて立ち上がらせる。さっきのエリオラさんの声に気付かないくらい見入っていたのかと思いつつ、彼女へ『これから』について尋ねた。


「今からエリオラさん達のことを追いかけて、用があるギルドに向かうことにする? 僕はギルドの場所を知らないからさ、アミュアちゃん頼りになるんだけど…………」


 僕は気になって気になって仕方がないギルドのことを諦めきれずに、もしも——という淡い期待を込めながらその場で腰を折った。

 しかし僕と数瞬の間だけ視線を交わせていたアミュアさんはそっぽを向き、ぶっきらぼうに答える。


「エリオラが行ったなら追わなくていいでしょ。露店を見て回ることにする。ギルドの場所なんて私も知らないし」


「…………な……なるほど」


 アミュアちゃんも知らないんかーい! 君は冒険者でしょうが。はあ。やっぱり今回はギルドそのものに縁が無かったということかぁ。仕方ない。

 ぬいぐるみに引き寄せられてしまった彼女が身の危険が有り得る迷子になってしまわないように、僕が付いていてあげなきゃいけないようだ。

 そんなことを思いながらリュックを背負い直した僕のことを見て、アミュアさんは『ハッ』とした表情を浮かべた。


「キモっ!」


「はあ?」


 急になんなんだ、突然「キモっ!」って誹謗を掛けてさ。今の一瞬で僕が「キモっ!」ってなることをしたのか? 僕は唐突に意味不明な発言をしたかと思えば、三歩分も僕から距離を取ってしまったアミュアちゃんに眉尻を下げながら問いかける。

 

「なにが「キモっ!」なのさ?」


「……………………」


 え? む、無言? 


「マジで、どうしたのさ…………?」


 アミュアちゃんは僕の問いを聞いていないのか、両手で愛用の杖を握り締めたまま、まるで『不審者』を見るような目を僕に向けてくる。すれば眉間に皺を寄せて、小さい彼女にできる限りの『目力』で怪訝な顔をする僕に言った。 


「アンタ、この状況を『デート』とか思ったでしょ!」と。


 距離を取って、なにを言うのかと思えば。考えもしなかったことを「思ってたでしょ!」と言われてもね。ていうか仮に思っていたとして、なにが『キモッ』なんだ?


「そんなこと思ってないよ。子供のお守りじゃん」


「はあ!? 絶対に嘘ねっ!! 別に私の後をついて来てもいいけど、それは『デート』とかじゃないから! 変に勘違いして私に惚れないようにしなさいよねっ!」


「…………はいはい」


 あまりにも想像力豊かで、尚且つ自意識過剰すぎている彼女に「アンタは、私のボディーガード役ね!」と言われて泣く泣くボディーガードに就任してしまった僕は、アミュアお嬢様に引き連れられながら中央公園内を進んでいく。

 

「ねえ、アミュアちゃ————」


「あ?」


「あぁ…………アミュアお嬢様は一体、どちらへ行くのでしょうかぁ?」


「ふふん。今から香水を買いに行くの! ちょうど切らしてたのようねぇ!」


「香水っスか?」


「…………」


「こ、香水ですかぁ……?」


「ええ! フリューには果実とか香花植物から抽出した香水を取り扱っている店が多いのよね! ほら、私ってエルフじゃない? 植物とかを材料にしたものじゃないと『くしゃみ』が止まらなくなっちゃうのよねぇ! ほほほっ!」


「は、ははは…………」


 ほほほっ——て、もう役に成り切ってるよ。さすがだな。


 そんなこんなでエリオラさん達と別れた中央公園を南西方面へ進んでいった召使い僕とアミュアお嬢様は、実際に買い物はしないウィンドーショッピングをしていく。


 すると、僕が乗せているのだから当たり前だが、お嬢様気分に浸っているアミュアちゃんは「あれを見なさいな、メーテル」などという謎の名前を勝手に僕に付けた挙句、斜め後ろの方を歩いていた僕にとある方向を指して視線を誘導した。 

 メーテルなる謎の人物には決してならないという確固たる眼差しをしつつも、仕方なく視線誘導を受け入れた僕は「どれですか、アミュアお嬢様」と。

 ごっこ遊びが始まってから、アミュアちゃんという呼びかけに反応してくれなくなった『我儘お嬢様』に、どこの店の、どの商品を指差してているのかを問い掛けた。


「これよ、これ。花を硝子に閉じ込めたやつ」

 

 示していた店のショーウインドー前まで向かったお嬢様が僕に教えるように指差していたのは、硝子細工の装飾品。どうやって加工をしたのか想像もつかない美しきそれは、内が詰まった筒状硝子の中に生花と思われる『一輪の薔薇』が入っていて。


 有限であるはずの存在を永遠にしようとしたような言葉浮き出ぬ儚さを感じさせるオブジェクトを前に、僕とアミュアちゃんは背で鳴り続けている雑多な騒めきを耳遠くにしながら、朽ち果てることを忘れてしまった、人間の手で臨終から遠ざけさせられてしまった一輪の薔薇を見つめる。 

 多分これは『恋人などへのプレゼント用商品』なのだろう。値段は強気の二千ルーレン。結構な高級品だ。オブジェクトに立て掛けられているメッセージカードには、

『これは永遠を伝え、贈るための一輪である』なんてキザなセリフが書かれていて、ただ飾りたいから買う物ではないように思えた。 


「………………買おうかな」


「え? ほ、本気?」


「………………やっぱり要らないっ」


 一頻り見つめ、そして僕が伺ってしまったことで興味を無くしてしまったのか、そっぽを向くように視線を切ったアミュアちゃんは移動を再開。それに僕も続いた。

 オブジェクトを見つける前に立ち寄った化粧品店にはエルフ好みの、それでいて体に適している香水が売っておなかったそうで、今は別店を探しながら歩いている。

 ていうかお目当ての化粧品店を探しているのは僕だけで、当のお嬢様は「アレ、コレ、ソレェ!」と寄り道ばかりだ。まあ、こと寄り道に関しては腹の虫は生み出した食欲に釣られて買い食いばかりしていた僕が言えたことではない気もするのだけど。

 

「あ、服屋よ! 行きますわよ! メーテル」


「僕はソラですよ……えっと、服を買うんですか?」


「買うかもしれないわね」


「なるほど…………」 

 

 僕は『女性服専門店』を見つけて浮き足立ったアミュアちゃんに手を引かれて、そこへと駆け足で入店。して包み隠さずに言うならば『鼻が曲がりそう』なくらいに芳香が効き過ぎている煌びやかな店内で、品物に目を通していく。


 男性の僕とは一生涯縁が無さそうな、目がチカチカするくらい華々しい内装をした女性服のみを取り扱った店内は、可憐でありながら騒がしい格好をしている上流階級なのだろうお嬢様方が「キャッキャ!」「うふふ!」と手に取った商品だろう服を身体に当てて、自分に合う服を選んでいた。


 店内にはもはや紐でしかないものやギラギラしたラグジュアリーな下着、さらにコレを普段使いしている人がいるのかと思ってしまうセクシーなガーターベルト、さらにさらに場違いな『鞭』など取り扱いされており、それを横目にしていく僕は居た堪れない気持ちを覚えながらも、なんとか服を物色しているお嬢様の後を追い続けた。

 

「コレとか…………どう?」


「え? あぁ…………んん?」


 アミュアちゃんが手に取り、自分の体に当てているのはラベンダーの刺繍が入っている純白のワンピースであった。どこからどう見ても『子供服』のような気がするが、まあ彼女の体型に合う服がそれしかないから仕方がないのだろうけども。


 しっかし。このワンピース、妙に既視感があるんだよなぁ……なんだっけかな?


「ちょっと聞いてる? 似合ってる? 似合ってない?」


「んと、その服……なんか既視感があるんですよねぇ」


「————? これを誰かが着てたの?」


「いや誰かが着てたわけじゃ——あっ! 思い出した!」


 目前に掲げられている花の刺繍が入ったワンピースに対して既視感を感じていたのは当たり前だ。そもそも、この衣服を製作しているところを僕は見たことはあるのだから。

 たしか山を散策しに行った時に取ってきた山盛りの山菜を僕がお裾分けしに行った時に、器用に花の刺繍を入れていたのは、僕の親戚である『サチおばさん』だ。というか、僕が着てるワイシャツもズボンも、コート以外の全ての衣類が服職人であるサチおばさんの手製だ。なんで今ままで忘れてたんだよ、僕は。

 

「はあ? なに、どうしたわけ?」


「このワンピースを作った人、僕の親戚ですよ!」


「えっ!? そうなの!?」


「サチって人なんですけど——」

  

 その後、アミュアちゃんが持っていたワンピースにある製作者のタグには『サチ・カールモル』という名前が書かれており、僕の記憶が正しかったことが証明された。

 続いて意外な事も分かった。サチおばさんが製作している服は結構『有名』らしくて、その服だけを買うっていう人も多くいるのだそう。そんな話を腹出し格好の女性店員に聞いた僕は、まるで自分の事のように誇らしくなり気分良く服屋を退店した。


 まあ予定通り、服は一着も買わなかったわけだけど……。


「それじゃあ。そろそろ、中央公園に戻りましょうか」


「ん。そうね」


 中央公園のど真ん中に突き立っている大時計塔の方を見てみると、現在の時刻は午後七時が過ぎたところで。中央公園を彷徨いていた時は、やや傾いてはいたものの太陽は西の空で浮かんでいたというのに、今はもう見る影もなく。

 かれこれ三時間以上アミュアお嬢様が勤しんでいた見物に付き合わされたわけだけど、まあアミュアちゃんは楽しそうだったし、そう思うと感じる疲れは一つもない。

 

 ギルドの用が済んでいるエリオラさん達のことを絶対に待たせているだろう僕達の現在地は、中央公園の南西側だ。

 なんだかんだ言っても、目的のブツであるアミュアちゃんの好みの柑橘系の香水を購入している僕達は『例のぬいぐるみ屋』の方へと急がない徒歩にて向かっている。

 ここから例のぬいぐるみ店まではそう遠くはないし、あと十五分〜二十分程度で着くことだろう。

 エリオラさん達は僕達のことを待ち過ぎて『ご立腹』しているかもしれないけれど、それはまあご愛嬌ということで許してはもらいたい、が。もし怒られたら僕が謝るしかないだろうな。アミュアちゃんが頭を下げるわけがないし。


 この天上天下唯我独尊のアミュアお嬢様が「待たせてごめんなさい」なんて人に言うわけがないだろうしねぇ……。


「ね」


「…………? どうしました?」


 綿菓子が詰められている紙袋を抱えていたお嬢様は突然歩みを止めて、香水の入った袋を持つ僕の方へ振り返る。目を点にする僕に対して『はにかむ笑顔』を見せてくれていたアミュアちゃんは少しだけ恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに言った。

 

「今日はありがとね。ソラ」


 僕は想像もしていなかった『アミュアちゃんの心からの感謝』を受け、戸惑いながらも眉尻を下げて笑みを溢した。


「どういたしまして、アミュアちゃん」


「ふふふっ! さっ、エリオラ達の所まで急ぐわよ!」


「了解!」

 

 三時間歩いていてなお疲れ知らずな軽快さをもって、人混みが絶えず流動し続けている雑踏を進んでいく。そうして到着した中央公園にはエリオラさん達が既に居て。

 ずっと戻ってこない僕達のことを待ち惚けしてくれていたエリオラさんとリップさんは、駆け足でやってきた僕達に向けて『まったく……』という風に肩を竦めて苦笑し、そんな二人に同じく苦笑してしまっていた僕は「申し訳ないです」と謝罪した。


 特に怒っていない二人に対して頭を下げ続けていた僕を見たアミュアちゃんは、


「そんなこと気にしなくていいのよ、楽しかったんだからさ!」


 と——闇夜を照らすくらいに晴れ晴れとした、花の笑顔を咲かせるのだった。

ちなみに、『メーテル』はアミュアの実家で飼われていた雌山羊の名前です。

彼女はメーテルに跨るのが好きでした。馬を飼っていなかったので、白馬の代わりに……と。

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