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星のデッサンと、早花咲く月の風

作者: 逢乃 雫

窓辺においた


読みかけの小説の



ページを風が


そっと


進めていくように



孔雀青の空の下で


歩く草萌に


春を見つけながら



さらら さらら


風が街を


さやかに吹き抜けて



早花咲月(さはなさづき)


丘へと続く道には



白いコデマリの


花々の連なりと



鮮やかに咲く


アルストロメリア



春夕映へと


向かいゆく空の



グラデーションは


瞳にやさしく




星はやわらかに


春を描きながら



まどろむ瞳のような


上弦の月の光が



彩糸のように


右の頬を照らすとき



左の頬には


春へと駆ける星



デネボラの輝きが


淡くやわらかに



春というデッサンを


(そら)へと描いて




風はやわらかに


春を届けながら



南の夜空を駆け上がる


しし座の星々



太陽の道を征く


レグルスの煌めきは



月の風琴とともに


春の鼓動を


宙へと響かせて




連なる星々と


レグルスの光が


遥かに描き出す



といかけ星を


風の中に見つめて



歩みゆくことは


問いかけることでも


あるかも知れない



答えを探しても


見つからない時も



進んだ先に新たな


問いが待っている時も


あるけれど



問い続けることが


答えのことも



そして


探すのではなくて


自分で創る


答えも、きっと



未来を想い描くことを


夢と呼ぶとしたら



その一歩ずつは


一葉一葉の


物語を手繰るように



どこへ向かっても


そこに未来を


信じて踏み出せたら




さらら さらら


風が街を


春へと吹き抜けて



早花咲月の


丘へと続く道は



春色のデッサンを


描く星の光に、


淡く煌めきながら


















黄道十二星座の一つ、しし座は、3月下旬頃から南の空高くへ上がります。デネボラ(アラビア語で「獅子の尾」)は、淡い黄色の二等星で、「春の大三角」を描く星の一つです。


しし座の一等星・レグルスはラテン語の「小さな王」に由来し、獅子の心臓の位置です。獅子の頭からレグルスまでの星々は「?」が逆の形で雨樋掛けに似ていて、「といかけ星」と呼ばれます。作中では「問いかけ」の意味もこめています。


早花咲月さはなさづきは3月、春夕映はるゆうばえは春のやわらかな夕焼けのことです。小さな白い花が連なるコデマリの花言葉は「努力」、エキゾチックな花のアルストロメリアの花言葉は「未来への憧れ」「持続」です。


季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 春を感じさせる素敵な詩ですね。 背中を押すような優しい詩で、心が安らぎました。
[良い点] 「窓辺においた」からの導入部が、一枚の絵になるようで素敵ですね。 緩やかに訪れる春を感じました。 進めば進むほど分からないことが増え、なぜと問いたくなることが多いものですが、「問い続けるこ…
[良い点] レグルス見ました!上弦の月も明るかったので、星座アプリ頼みですが、確かに問いかけの一番先ですね。黄道に立つ獅子の前足ですね。 春ですね。卒業や新しい世界へ旅立つ人の気持ちや彼らへの後押しに…
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