クリスマスのピザ
ピザが嫌いな人はいるだろうか。居ると思うが、俺は大好物だった。
サクサクな生地、トロトロチーズ、トマトの酸味。食欲を刺激する全てがそこにある。一説には一番太る料理とも言われている。丸くて大きなピザを大勢で分け合って食べるのも、さらに味を美味くしているかもしれない。
まあ、あのパイナップルピザとかチョコレートピザやハチミツピザはちょっと苦手かな。やっぱり甘いものを食事感覚で食べるのは違和感がある。
そんな俺はクリスマスのご馳走は、やっぱりピザ一択。お気に入りの宅配ピザを注文し、家に届くのを待つ。
クリぼっちだけど、美味しいもの食べられるならいいや。ピザが全ての孤独や切なさを拭ってくれる気がする。あの大きくて丸いパリパリの生地が、全てを包み込む懐の広さを感じるのだ。
「お待たせいたしました!」
しかし、ピザ屋から届けられたものは良くも悪くも予想外。クリスマスキャンペーン中で一枚注文でもう一枚おまけがつき、しかも何かの抽選にも当たったらしくさらにもう一枚ついてきた。お皿やマグカップ、キャラクターのシールやカレンダーなどノベルティも頂いてしまった。
三箱のピザを目の前にして考える。いく好物だからといってこの量を食べるのは無理だ。嬉しい悲鳴というやつだが、困った。香ばしい生地の匂いを嗅ぎながら、さらに考える。やっぱり独り占めは良くない。
「まあ、いいか」
手当たり次第友達に連絡した。同じサークルや大学のゼミの仲間でもさほど親しくもない相手にも。
てっきり恋人と過ごす友達ばかりと思ったが、意外にもクリぼっちが多く、家に来てくれるという結果になった。
「メリクリ!」
狭い一人暮らしのワンルームに男達が五人も集まる。少々むさ苦しいが、こんな風に丸くて大きなピザを分け合うのも悪くない。
ピザの味を噛み締めながら、最高に幸せだ。
別に恋人のクリスマスが全てでは無いのだ。仲間と美味しいものを食べるのだって素晴らしいクリスマスの時間といえよう。