街の歌
クリスマスが近い。クリスチャンである私は、浮き足たちが、全てが楽しいわけではない。
日曜日、教会のみんなと予算とクリスマス礼拝の事で揉めた。
一人、ボスみたいな人がいて「教会を派手なクリスマスイルミネーションで飾る」と主張。
この教会は住宅街にあり、近所迷惑になるのではという意見が多数だったが、ボスは譲らない。
牧師も何も何も言えない。このボスは献金もいっぱいやっているという背景もあり、しがない主婦の私や年金暮らしの教会員たちは何も言えない。
「で、でも。この教会はプロテスタントですし、派手に飾るっていうのは、ちょっと」
一人、大人しい女子大生が勇気を持って意見していたが、ボスは彼女を睨みつけ、険悪なムードになってしまった。
クリスチャンは清らかでいい人が多そうというメディアのイメージもあるが、所詮人間。そんな事は全くない。教会もそんな人間の集まり。全ては理想通りにいかない。
よく理想の教会を求めてジプシー状態になっているクリスチャンも多いと聞くが、どこかで現実と向き合い、諦める事も必要だろう。特に日本は大小さまざまなカルトも多く、普通の教会に通えるのは、実は運の良い事なのだが。
そんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま、教会を出る。
まだ11月だが、街はクリスマスムードが高まってきた。ツリーやリースなどの飾りやクリスマスケーキのポスターなどを見ると、ワクワクする。讃美歌も聞こえる。街で普通に讃美歌が聞こえるこの時期は、自然と心がワクワクしてしまう。
そんな時、KANさんの「愛が勝つ」が聞こえてきた。KANさんは最近亡くなったニュースも聞いたが、追悼で流しているのだろうが。
しかし、この曲。
聞けば聞くほど讃美歌っぽい。裏切られ、十字架の上で殺されが、最後には復活したイエス・キリストが目に浮かんでしまった。
目を閉じて聞いていると、励まされる。
もちろん、意図して作った曲では無いだろうが、今の私に必要な勇気をくれたよう。自分勝手な解釈という自覚もあるが、今は心が軽くなってきた。
教会のボスの事を思うと、ちょっと憂鬱だが。大丈夫。街から聞こえる歌に耳をすましながら、元気が出てきた。