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みんなで食べたいシュトレン

 少食が悩み。


 なんて友達に言うと理解して貰えない。特に女友達からは「嫌味? 自慢?」などと怒られる事もあった。


 そんな雲川結衣は、クリスマス時期が憂鬱だった。仕事ではきちんと頑張っているが、その帰り道にケーキやチキンが販売されているのを見ると、複雑だ。


 食べ物を味わう事自体は嫌いでもない。むしろ好き。単純に胃が弱く食べられない。食べたとしても吐くか下痢になってしまう。


 職場でも小さな弁当を持って食べていたが「嫌味? ぶりっ子?」とお局に睨まれ、居心地が悪い。


 それクリスマス料理自体は嫌いではない。特にシュトレンは、粉砂糖やナッツ、洋酒の甘みが最高だ。大好きな味だが、あのなまこ型の丸ごと一本食べられない。毎日少しずつでも無理だ。去年はハーフシュトレンを買って食べてみたが、結局全部残してしまい罪悪感だけ残った。


「あれ?」


 何気なくパン屋を覗くと、シュトレンが店頭にある。あの大きなシュトレンやハーフのもおったが、薄くスライスした一枚だけも売っている。最初は試食用かと思った。実際、試食目的で販売しているようだが、これはありがたい。


 さっそく結衣はこのスライスされた薄いシュトレンを購入し、家に帰って食べる。


 熱いコーヒーと共に、このスライスシュトレンを楽しむ。ゆっくりと咀嚼し、口の中に甘みが広がる。結衣の心にも幸せが広がっていく。去年持ってしまった罪悪感は消えていくようだ。


 最近はコンビニやスーパーでもハーフサイズの弁当が売られていて、少食民としては有難い。胃に優しい。客への配慮も感じる。クリスマス時期だからだろうか。人の優しさが身に沁みる。


「しかし、このシュトレン美味しかったな……」


 一人で全部シュトレンを食べるのは無理だが、家族だったら分け合えるだろう。結衣には兄が二人いる。今年は兄達も実家に帰ってくると聞いている。


 あのシュトレンを実家への手土産にするにも良いかもしれない。


 家族みんなでシュトレンを分け合って食べるところを想像していたら、楽しくなってきた。今年のクリスマスは楽しく過ごせそうだ。


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