神は心を見る〜大きな贈り物〜
昔、昔あるところに、優しいお爺さんと意地悪なお婆さんがいました。
お爺さんは、山に芝刈りに行くと、一人の男に出会いました。
黒い服に十字架の首飾りをつけた男です。顔つきも鬼のように堀がふかい男でした。
「伴天連さんか?」
最近、この国入ってきた宗教・伴天連を広める男だと気づきました。ただ、評判はお土産に持ってくるカステーラ以外は悪く、嫌われていました。
この男も嫌われているようで、石を投げられ怪我をしていました。不憫に思ったお爺さんは、伴天連さんを連れて家に帰り、怪我の手当てをしました。
お婆さんはこれに大激怒。お爺さんがいない時に伴天連さんに毒をもり、追い返しました。
しかし、伴天連とお爺さんの交流は続き、「クリスマス」というお祭りにも呼ばれ、大きな贈り物も貰っていました。
これを見たお婆さんは、自分もその贈り物を頂こうと思いました。伴天連さんのいる南蛮寺へ行きます。
その途中。変な看板を見ました。黒字に白抜き文字の怖い雰囲気の看板です。
神は心を見る
そんな言葉が書いてありましたが、お婆さんはイライラして唾を吐きます。
「伴天連の神なんぞ知るか」
そう言った瞬間、周りは光に包まれ、目の前に美しい天使が現れました。
天使は、右手に大きな箱。左手のに汚くて小さな箱を持っていました。
「おめでとう、恵まれお方。わたしは伴天連の天使。あなたに素敵な贈り物を差し上げましょう」
「ほー? なんだ?」
怪しいと思いつつ、贈り物には弱いお婆さん。すっかり天使の話に耳を傾けていました。
「わたしもあのクリスマスっていうお祭りで騒ぎたいもんだね。その大きな箱はくれ」
「かしこまりました!」
お婆さんは、大きな箱を受け取ります。欲がでました。お爺さんよりももっと大きな贈り物が欲しいと思いました。
開けてみたら、びっくり。大きな箱の中には害虫がいっぱいいました。
「助けて」
お婆さんは、害虫たちに追いかけられ、南蛮寺に行く事はできませんでした。当然、素敵なプレゼントもありません。
神は心を見る
本当かもしれません。