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ケーキ屋と菓子屋の陰謀

 最近、息子が厨二病を拗らせている。実際、中学二年生なわけだが。


「クリスマスは、ケーキ屋と菓子屋が儲かる為の陰謀だ」

「へえ」

「ケーキと菓子を売るためにクリスマスイベントが始まったのさ。聖書には、イエスの誕生日なんて書いてないからな」


 ふっとため息をつき、息子はドヤ顔。一般家庭の食卓でドヤ顔しても、サマにならないのだが。


「つまり、陰謀論なのさ」

「はいはい。モテないからって変な方向に行かないの」

「モテないとかいうなー」


 実際、息子はモテない。女の子の話は一回も聞いた事がない。それにモテる男子が、そんな捻くれた考えはしないだろう。偏見だが世の陰謀論のはまっているのも、低学歴や低収入のイメージがある。もっともそんな陰謀論にハマるよりはよっぽどマシか。ケーキ屋と菓子屋がクリスマスを広めたという陰謀論は、まだまだ可愛らしいものだ。


 そしてクリスマスイブの夜。


 私は家族のためのチキンやピザを焼き、パーティーの準備をした。ケーキはスーパーでホールのものを一つ買う。スーパーではケーキ専用のコーナーもできてあり、行列もできていた。お菓子も飛ぶように売れている。息子が陰謀というのも、少しは納得。


「さあ、パーティーの準備できたよ」

「おい、拗ねてないで、テーブルにつけ」


 私と夫は、息子に声をかける。やはり、クリスマスもモテなかった事が、息子にとっては不満そうだ。


「美味しいチョコクリームのケーキよ。ふわふわなスポンジ。甘くて滑らかなクリーム。新鮮で綺麗なフルーツ……」

「わー、やっぱりケーキ食べたい!」


 厨二病で捻くれていた息子だが、ケーキの魅力には勝てなかったらしい。


 そんな息子でもいつか可愛い彼女ができるだろう。もしかしたら、こうして家族で過ごすクリスマスも最後になるかもしれない。


 寂しいが、今日は家族でクリスマスを楽しみたいと思う。


 クリスマスは、ケーキ屋とお菓子屋の陰謀だったとしても、どうでもいい。むしろ、こんな楽しい日にしてくれて感謝したい。

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