実力で手に入れられた名馬
フヨッフヨッフヨッ『パカラッパカラッパカラッ』
『道案内をして頂き感謝をします。騎士殿』
『お気になさらずに魔法使い殿。本来でしたら御領主様が御治めになられていられる御領地の領内における治安維持は、我々家臣団が行わなければならない所を、お力添え頂きまして、自分の方こそ感謝をせねばなりません』
城館での栄養豊富な朝餉を摂り終えました後に、子爵閣下から御領地の領内にて跳梁跋扈する盗賊団の討伐を依頼されましたので、傭兵としてお受けしましたが。
フヨッフヨッフヨッ『パカラッパカラッパカラッ』
『私は平民身分の生まれですので幼少期に馬と触れ合う機会がありませんでしたので、馬術を習得してはいませんが。騎士殿が騎乗されていられる軍馬は、素人目にも立派な毛並みをした名馬だとお見受けをします』
軍馬に騎乗されていられる騎士殿の隣を、魔法使いである私は根元魔法の飛翔により浮かびながら移動をしていますが。四十代くらいの騎士殿は、十四歳の若者である私に対して馬上にて笑顔で頷かれまして。
『この愛馬は馬上槍試合にて、他家に仕える騎士との一騎討ちに勝利して手に入れた自慢の戦利品となる名馬です。魔法使い殿♪』
帝国とは国際河川である父なる川を挟んで対岸の西岸に位置するロートリンゲン公国とエルザス伯国の両国では、騎士殿による馬上槍試合が盛んだと故国でも聞き及んだ記憶がありますが。御自身の実力で手に入れられた軍馬を、騎士殿は誇りに感じていられるようです。