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根元魔法を扱える男女による挨拶
『ご機嫌よう。魔法使い殿』
根元魔法の姿隠之魔法を解除して姿を見せた私に対して、令嬢が優雅にお辞儀を行われていられる間も、褐色の侍女であるマリーは油断無く短剣を構えたままでした。
『お初に御意を得ます令嬢。女魔法使いでもある貴女の邪魔をして申し訳ありませんでした』
両手を下げてお辞儀を返して挨拶をした私に対して、令嬢は楽し気な笑みを浮かべられますと。
『殿方が無力な女性を守ろうとされた、騎士道精神の発露という訳ではなかったのですね。魔法使い殿♪』
笑顔で話された令嬢の言葉に頷きまして。
『はい。令嬢。この地を御治めになられていられます子爵閣下から、御領地を荒らす不逞の輩を討伐するようにとの依頼を受けております』
麻痺魔法で身柄を拘束した髭面の無法者達から、森の奥深くにある盗賊団の拠点に関する情報を聞き出さなければいけません。