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水辺での二番目の出会い

『バシャッバシャッバシャッ』

ふむ。先程の農奴の男女は、本日は非常に幸運だったようです。

『バシャッバシャッバシャッ』

農奴の人達が水汲みをされていた場所から少しだけ離れた水辺にて、母熊が支流の水の中に入り餌の魚を狙い狩りを行っていました。

『コロッコロッコロッ』

母熊の目が届く近くの水辺では、冬ごもりの間に生まれた二匹の幼獣である小熊が、可愛らしい毛玉の塊のように戯《じゃ》れ付きながら遊んでいます。

『バシャッバシャッバシャッ』

小熊を連れた母熊は我が子を守ろうとして気が立ち攻撃的になりますので、先程の農奴の男女一行は熊の家族と遭遇していましたら、母熊に襲われて死傷者が出ていた恐れがあります。

『コロッコロッコロッ』

私は根元魔法の姿隠之魔法《ウン・ズィヒトバールカイツ・ツァオバー》で透明化していますから、可愛らしい毛玉の塊のような小熊の二匹が戯《じゃ》れ付き水辺で仲良く遊ぶ様子を間近で観察する事が出来ますが。

『バシャッバシャッバシャッ』

農具の鋤《すき》で武装していた男性が二人居たとはいえ、小熊を守ろうとする母熊に襲われたら戦闘訓練を受けた事の無い農奴では、無傷では済まなかったと思われますので。人間と熊の双方にとって、遭遇しなかったのは幸運だと思いますが。お互いが幸運だった事実を知っているのは私だけですから、農奴一行は自分達の幸運に生涯に渡り気が付く事はないですね。