日常の在り方 前編
きちんと投稿して私えらい!!
締め損ねたカーテンの隙間から、差し込む少し暖かい太陽の朝日。その朝日に比例するかの様に鳴り始めた五月蠅いアラーム。手探りで耳障りな音の鳴る正体を探し、画面を見ると時刻は7:31を......
「やべ!あと15分で支度しないと!」
遅刻しかけたことに気づき、慌ててベッドを飛び降りる。どうして学校と言う存在は、こうも行きたくないんだろうか。もう、何回目になるかわからない事を考えながら、素早く身支度を整える。ドタドタと物音がない家に響く足音。響くこと数十分、
「もうこんな時間かよ!」
リビングの時計を見るなり、俺は家を飛び出した。朝食をとる余裕もなく、ただただ全力で走る。いつもの代わり映えしない道に夏の暑い日差し。15分ほど休憩を挟みながら走ったのだが、
チャイムの音キーンコーンカーンコーン
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
俺の絶望の叫びと共に学校に着くともう集会が始まっており俺は担任に怒られるのであった。
――――放課後
遅刻した俺は担任に呼び出され罰として、生徒会室にプリントを届けに向かうことになった。
けだるげな足取りで階段を上がる。階段を三回程登り廊下を真っ直ぐ歩いていると、生徒会執行部と書かれたプレートがある教室にたどり着いた。
一呼吸おいて、ちょっぴり緊張しながら扉を適当にノックをして扉を左にスライドさせ少し顔を出す
「あの~先生から生徒会にプリント渡されたんですけど...」
「あ~はいはい、ありがとね。そのプリント真ん中のテーブルに置いといてくれる?」
教室で使う椅子より、ちょっと豪華な椅子に座りプリントと睨みあっていた少女が俺に気づき目線を合わせる。
勿論俺はこの少女を知っていた。いや、多分この高校の生徒ならみんな知ってると思う。
彼女の名前は三奈月玲奈。
話したことはないが、その声と顔は毎週木曜日に朝礼で見ている。
そう彼女は生徒会長であり、美人で優しくて胸が大きい先輩として有名なのだ。
その人
この間も、拓海とゲームをしている時にも三奈月先輩の話題が出たぐらいだし。しかも容姿だけでなく、その頭脳と運動神経も優秀と聞く。
でもまぁ残念なことに話したことはないけど!
まぁ、要するに学校のアイドル?みたいな存在なのだ。
「わかりました。」
若干、その美貌に見とれながら俺は机にプリントを置き、帰路へ着こうと教室を出ようとする。
「それじゃあ、これで」
名残惜しさが少し残ったが、何の接点もない俺からこれ以上話かけることはできず、背を向け歩き出そうとすると
「鏡道君、もしこの後暇ならなんだけどさ....」
不意に話かけられ扉に向って歩いていた歩みが一瞬にして止まり、ゴクリと唾が俺の喉を通る音がする。
「私と一緒に資料整理の手伝いをお願いしたいな~なんて...........」
数秒の沈黙。まず俺の名前を知っていることに驚きだが、いい駒として使われている気が気でないが...........
更に沈黙が続く、およそ時間にしては二秒にも満たないだろう。でも俺の体は、数十分の様に感じている...こうなりゃあ考えても仕方ない、
「そうですね、暇なんで手伝います。」
「うん!じゃあよろしくね、鏡道透華君。」
こうして俺、鏡道透華は先輩の三菜月玲奈と共に、生徒会の資料整理をすることになった。
―時刻は18:30頃、最後の資料に目を通し先輩へと渡す。
「本当に助かったわ!ありがと!じゃあこれ職員室に持って行って帰ろっか。」
「了解っす、ぱぱっと持って行って帰りましょ」
この一時間半、他愛のない話をしながら作業していたが想像以上に仲良くなった。けど、さっき話してたあれ、今から十年以上も前のゲームだろ.......?でも最近はよくスマホにゲームが移植されたりしてるし、わからないくもないけど...........でもほんとに意外だ。俺は妙な親近感を俺は先輩に抱きながら先輩の背中を追っていった。
整理したファイルと書類を持って職員室へ運び、下駄箱へ向かう。三年生の先輩とは下駄箱が違うので実質ここでお別れと言うわけだが、でも久しぶりに趣味について拓海と以外に話せて楽しかったな、なんて心残りをほんのちょっぴり残しながら靴に履き替え終わり玄関を潜り抜けると、
「この後ってさ、鏡道君時間ある?」
後ろから俺を呼び止める声がする、まさかと思い後ろを振り返るとそのまさか、先輩が靴をもって立っていた。
「あっ...ありますけど...」
三年生用の下駄箱から靴をもって来たのだろう、だが想定外の事に気が動転して言葉が変な感じで詰まって返してしまう。
「よかった!じゃあさ、一緒に駅前に行こ?久しぶりに趣味について語り合えそうな友達ができたんだからいいよね?」
「...俺でよければ!是非!」
心臓がバクバクと高く鳴り先輩に聞こえているのではないかと思うほど鼓動が速くなって、ここからどうすればいいのかわからなり立ち止まっていると、
「ほら!早く!」
先輩は俺の手を少し強引に取り走り始める、握った先輩の手は優しくもあり暖かかった。
—――――――――駅前
少しして先輩は俺の手を放した。手に残った先輩の温かさをかみしめながら先輩の横に並ぶ。
雑多な人込みと言うには少し少なく、学生服やスーツ、主婦や小学生と色とりどりな人々が行きかい俺たちと同じ制服の奴もチラホラと目に入ったりなど程よく賑わっている駅前についた。
霞ヶ丘町とか言う中途半端な都市によくある一番賑わっている駅の近くにはアウトレットや飲食店、ゲームセンターまぁよくある娯楽施設が集まっている。それはそうと先輩は何処に行くつもりなのか。
「取り合えずカフェとか行かない?そこで何処行くか決めていい?」
「いいですね、あっ、それなら最近噂の美味しいカフェとか行きます?」
そう言って俺はスマホで調べた小洒落た感じの写真を先輩に見せる。
「結構お洒落なお店だね!じゃあ行こうか!」
数分案内し辿り着いた店に入ると人はおらず俺たちだけだった。テーブルに案内され、適当に飲み物を頼む。一息してから、
「行きたい場所とかある?」
周りたい場所を決めてなかったのか、でもうーん、最近Amazanで色々買ったから欲しい物なんもないんだよな、どうしよう。でも、あんぱいな場所のがいいよな。なら
「ゲームセンターとか?」
「鏡道君ゲーム好きそうだもんね、何のゲームとかしてるの?って聞こうと思ったけど私わかんないや」
とにこやかにはにかむ先輩、その顔に自分の頬が少し朱色に染まったのが分かった。
何だかんだカフェで喋っていると、いつの間に9:00頃になってしまってゲームセンターに行くことはなかった。
色々あったがカフェデート?を満喫し、駅前をブラブラ二人で歩く。行きかう人込み、賑わう人々。
その隙間にある本屋を少し見てしまう。
「本好きなの?」
目を止めたのが気になったのか俺に聞いてくる先輩。
「好きですね、昔から本に囲まれた所で育ったって感じもあると思うので」
「そうなんだ、なんか意外だね。鏡道君が本読んでるの想像できないや」
笑う先輩、あれ?なんか物凄く失礼なこと言われた気がする...うーん、深く考えないようにしよう...
「笑わないでくださいよ、先輩。これでもかなりの読書家なんですよ!」
「ごめんごめん、なら本屋にでも寄っていこっか、結局カフェで話し込んだだけだったしね」
本屋の店内に入り先輩と回る。
「読書家さん、本が読みたくなっちゃのでお勧めの本を教えてください」
なんか変なあだ名になってる...だが好きな事や趣味の事を聞かれたり教えてほしいとか言われたりしたら教えたくなるのが人の性だ。
「個人的にですけど、これとか面白しろかったですよ」
本棚から一冊の本を探し手に渡す。
「BEATLOSS、これってどんな本なの?」
「人口知能と少年の恋を描いたやつですね、世界観がすごい綺麗なんで面白いですよ」
一年ほど前に読んだ個人的に名作のうちの一冊を手渡す。
「へぇ~じゃあこれにしようかな。あっ、そうだ、今日仕事手伝ってくれたし、なんか本買ってあげよっか?」
「大丈夫ですよ、まだ最後まで読めてない本とかあるんで」
「遠慮しないで、ここは先輩である私に奢ってもらっちゃってください」
「わかりました、選んでくるんでちょっと待っててください」
適当に本棚から本を取り、先輩のところに持っていく。
「これでいいの?」
コクっと頷き先輩に渡す。
「わかったわ、支払ってくるから、ちょっと待っててね。」
そう言って先輩は、レジのほうへ向かっていった。
「はい、今日のお礼、本当にありがとうね。」
支払いを終えた先輩から奢ってもらった本を貰う。
「こっちこそ本を奢ってもらっちゃって、ありがとうございます。」
お礼を言うとニコッと微笑んでくれて自分の頬がまた少し赤くなるのを感じる。
「あぁ、それと明日からちゃんと遅刻しないようにね。今日も朝礼に遅刻してたでしょ?」
俺がさっきの微笑みの余韻に浸っていると優しく注意される。
「気を付けます。ん?なんでそんなこと知ってるんですか?」
「今日、先生が愚痴ってた。」
「マジですか。」
やっぱり担任も愚痴りたくなるほど今日のの遅刻はヤバかったらしい...本当にごめんなさい篠崎先生...
「うん、だから明日から頑張って遅刻しないようにしてね、じゃあ鏡道君バイバイ」
と言って先輩は手を振り俺も手を振り返す。
日常とは常に変化するものである、例え俺達には見えないところでも変わっていく。 それは、運命という砂時計の砂が零れ落ちていくように。
今日の晩御飯は茄子と肉を味噌で炒めたのでした。味が薄かったです。また明日!!!