ー--プロローグ
気が向いたので再投稿します。昔書いてた文を駒切にして投稿していくので、気長に待っててください。気が向いたらまた書き始めます。
鮮やかな花々が咲き誇り、辺り一面の丘を埋め尽くす。此処から遠くて近い何処かの世界。吹き撫でる風は優しく、体を、いや、辺りの一面全てを包み込むように前から後ろへ通り流れていく。
その優しい風に煽られ寿命を迎えた花々の花弁が空へと舞い、美しい花のカーテンの様になりながら次の花々へと鮮やかなこの景色を残そうと紡いでいく儚くも美しい正に理想郷。
そしていずれ至る何処かの地。
その丘で少女は独り、静かに玉響の夢を見る。幾千、幾万もの時代を越え、人が変わり、街が変わり、世界も変わり、残っていた声も、顔も、色も、そしてその在り方さえも、思い出せなくなったとしても...
「ねぇ...一杯だけでも...」
月白色の腰まである美しくて長い髪が風に乗って靡きながらこちらに背を向けて立っている少女に誘いをかける。
けれど
「後でね...まだ約束の途中だから...」
もう何回目かわからない誘いに、呼びかけに決まってそう答えた彼女。心配するこっちの身にもなって欲しいぐらいだ。
もう幾星霜待ち続けてでも恋に酔う少女の姿は、何処か、凛々しくもあり寂しくもあった...
少女が望むのは遠い遠い昔に約束した、傲慢で子供じみた口約束...そして今もまだ少女はその盲口に囚われながらも、移り変わる世界を傍観し今日も今日て待ち続ける。記憶と言うのはいずれ薄れていく、例えそれが、人知を越えた存在であったとしても記憶と言う倉庫から思い出を引き出し、脳内で再生するたびに薄くなり、やがて消えていく。
それは使い古したカセットテープを何度も、何度も、何度も、巻き戻すように....
しかし、巻き戻すのにも限界が来たようだ.....
「私は....」
わからない、どうして私は、ここに立っているのか。
どうして...
記憶は薄れ消え去った、
振り返えろうとする体。
けれど思い通りに動かない何かが体を蝕んだ。
体を蝕む原因は、私にもわからない。
何故、ここで待ち続けるのか、何故、あの色を、形を、匂いを、そしてあの笑顔を待ち続けるのかと..
バカげた話だ、決して戻ることのない、消耗品の記憶を思い出そうとしてそのたびに変わることのない現実を突きつけられて、絶望し、心が折れてもここに立ち続け尚もアイツを信じて待ち続ける少女が目の前にいるのだから...
でも...待ち続ける少女を美しいと感じてしまった私もバカなのだろう。
あぁ本当に間抜けな話だ...
「そうだ...私誰か大切な、大切な人を待ってるんだ.....えっと......名前.....名前は.....
明日にでも第一話投稿します。良ければ見てください。
話は変わりますが今日の晩御飯は太刀魚の煮つけを食べました。おいしかったです。