第9部
「おっはよ!」
「ッ……! 痛ぇからいちいちおもいっきり叩くのやめろ」
沙弥は目が充血していた。
泣いてたんだろうずっと。
「いーじゃーん別に!」
「……何だよ休みに朝から呼び出して」
「どうしたの翔。クマすごいよ」
お前も、とはあえて言わなかった。
「うるせぇな。寝れなかったんだよ」
「何それ。なんで?」
「……お前がピンピンしてて安心したよ俺は」
「私はいつも元気でしょ!」
そんな顔でよく言う、まったく。
「あぁ、そうだな」
「遊びいこ。どこでもいいから!」
「俺眠い」
「ほら、早く」
「おい、腕引っ張んなよ、わかったから! おい」
まぁ、たまにはいいか。たまには。
「昨日は……ありがとね」
「ん? なんだよ」
聞こえないふりをして。
「なんでもなーい!」
いいんだ。このペースで。この距離で。
この一件で、普段傍にあることが当たり前の、大切なものに気付いた。
だから。
もう少し傍に。
いようと思う。
ここまで読んでいただいた方々、本当にありがとうございました。
主観を交互に切り替えながら、執筆してみました。
これにて完結です。
宜しければ、感想、評価お気軽にお願いします。