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第8部
「おっはよ!」
「ッ……! 痛ぇからいちいちおもいっきり叩くのやめろ」
「いーじゃーん別に!」
卒業式を終えて一日。今朝翔をメールで呼び出した。
「……何だよ休みに朝から呼び出して」
「どうしたの翔。クマすごいよ」
「うるせぇな。寝れなかったんだよ」
「何それ。なんで?」
ちょっと意地悪に訊いてみたり。
「……お前がピンピンしてて安心したよ俺は」
「私はいつも元気でしょ!」
「あぁ、そうだな」
やっぱ心配してくれてたのか、翔。
「遊びいこ。どこでもいいから!」
「俺眠い」
「ほら、早く」
「おい、腕引っ張んなよ、わかったから! おい」
昨日。ちょっと嬉しかったんだ私。
「昨日は……ありがとね」
誰にも聞こえない小さな声で。
「ん? なんだよ」
「なんでもなーい!」
この一件で、普段傍にあることが当たり前の、大切なものに気付いた。
だから。