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第6部
「ごめん」
翔はただ淡々と。
「覗き見なんてする気はなかった。ただ……お前後先考えないでやらかす時あるから」
振り向かずに、そう言った。
「聞いてたらさ、アイツの態度にイライラして」
「でも……私男っぽいし、がさつだし」
「お前料理、得意だろ」
え……?
「たまにお菓子、作ってくるだろ」
「裁縫、得意だろ。部屋に自分で作ったぬいぐるみ、沢山あるだろ」
「……翔?」
「十分だ。ガサツなんかじゃない」
翔はこの言葉を最後に一言も話さず、振り向かず。
私の手を握ったまま、家まで送って去って行った。